俳優の佐藤允氏がお亡くなりになりました。
報道されたのは1月8日ですが、逝去日は昨年12月6日。急性肺炎。78歳。
11月29日に「独立愚連隊」をレビューしたばかりなのに。
若い時は“和製ウィドマーク”、中年以降は“和製ブロンソン”。
草食系の真裏に生きる雑食男子。
硬軟どちらにも転がる絶大な振れ幅。
喜八映画にはなくてはならない人材でしたが、今回は魔界の帝王・石井輝男の不思議時空を覗いてみましょう。
千葉真一、佐藤允、郷えい治。この3人が並んだだけで、もういけません。濃過ぎです。
甲賀忍者の末裔(千葉)と元刑事(佐藤)と金庫破り(郷。前作ではただの極悪レイプ犯だったような…)。
こいつらが、池辺良&中島ゆたかの指示の元、盗まれた6億円の宝石を奪還する…なんて話はどうでもよくて。
とにかく全員が馬鹿。んで子供。
打ち合わせ場所に千葉ちゃんだけ現われない。佐藤らが千葉を上げたり下げたりしていると、やにわに壁際に飾ってあった鎧兜が「うがががー!」
千葉ちゃん、いつからその鎧に入っていたんだい?
うっかり席を立てば、グラスにフケやら鼻クソやらいれられるし(小学生かよ!)。
掌を瞬間接着剤でテーブルに糊付けされた郷は、テーブルを手の形に切り抜いて、ずっとそのままだし(指曲げられなかったら金庫破れないだろ!)。
いかにもカラテ映画風なタイトルですが、そのような雰囲気はビタ一文ありません。
笑いと引きの分水嶺を反復横飛びで行ったり来たり。
佐藤允はある種の侠気を見せつつ“朱に交われば中学生”な難しい(?)役どころ。こういう濃い顔でシリアスから大馬鹿まで器用にこなせる役者さんがあとどれだけ残っているのでしょう…。
これから「独立愚連隊西へ」でも観ようかな。ご冥福をお祈り申し上げます。