1回目は勢いで結構怖い。
しかし、2回目(いや、2回観たわけじゃないんだけどさ)は、恐怖のツボが笑いに転化してしまう、ある意味一粒で二度美味しいモキュメンタリー。
「グレイヴ・エンカウンターズ」
(2011年/ザ・ヴィシャス・ブラザーズ監督)
昨日に引き続き精神病院シリーズ第二弾。
スタッフが心霊スポットを訪ね歩いて超常現象をカメラに収めるリアル志向ドキュメンタリー番組「グレイヴ・エンカウンターズ」。
しかし、実態はスタッフ全員心霊現象なんか信じちゃいない最低ヤラセ企画。
今回のロケ地は、閉鎖されたコリンウッド精神病院(廃墟の歩き方ですね)。
目撃者がいなけりゃ金を握らせて証言をでっちあげ、スピリチュアル・キャラで売っている芸能人を引っ張り出してネタ合わせ。「おお、霊だ!感じるぞ!」
映像は施設内暗視固定カメラと手持ちカメラ。毎度お馴染みブレアウィッチ型POVです。
まあ、大体予想通りの展開になるのですが、POVに必須なリアリズムが皆無。
素人臭さを出そうとしているのでしょうが、手持ちカメラが下手過ぎ。君らまがりなりにもプロ(という設定)なんだよ。学生がお遊びで撮ってるんじゃないんだから。
で、最大のウリにして致命傷なのが、過剰なるサービス精神。
もう景気良く心霊現象起こる起こる、幽霊出る出る。
しかも、“出口を開けたら長い廊下”とか“屋上に通じる階段上ったらヌリ壁”とか物理的に手が込み過ぎ。
心霊スポットと言うよりは、巨大なお化け屋敷です。
ちょっと眠る度に状況が変わっているのも、“キチガイ幽霊くんたちがせっせと仕掛けを作っている”と思うと、何だか微笑ましくなってきます。
(そのうち“ドッキリ”と書かれたプラカードを持ったビートルジュースが「どう、ビビッた?ビビッた?」とか言いながら出てきそうな)
幽霊の特殊顔面芸も最初は驚きますが、分かってしまえば2度目はギャグでしかありません。
ブレア・ウィッチもパラノーマルも何が起きるわけでもない閉塞感と地味さ加減が不満でしたが、本作を観ると“派手にするとこうなってしまうのか…じゃ、あれで良かったのかな”って気になるから不思議です。
反面教師って奴でしょうか。