デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

異例。 必殺仕置人/最終回・お江戸華町未練なし

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『金勘定もしねぇで危ねえ綱渡りをするのは馬鹿馬鹿しいようだが、なんとなくマシな人間になったような気がするじゃねぇか。…力合わせてやろう』

頼み人無し。当然、仕置料も無し。

第1話で「世のため人のためなんて言ってたらすぐへたばっちまう」と言っていた鉄の口から出た義憤の言葉。

ちょっと異例な最終回。

 

必殺仕置人/最終回・お江戸華町未練なし」
(1973年10月13日/工藤栄一監督)


江戸は日照りと旱魃で干上がり放題。水の出る数少ない井戸も奉行所が疫病を理由に閉鎖。

水は高騰。手の出ない庶民は弱い者から倒れていき…。

昼行灯・中村主水も堪らず上司に意見具申。「庶民の苦しみ、目に余ります!」

職場のかっちょいい主水はなかなか拝めないので貴重です。

裏では北町奉行所筆頭与力・塩見、南町奉行所筆頭与力・上島、寺社奉行組頭・沢井が結託して水を独占。高値で売りさばき私腹を肥やしていました。

とある事情から面が割れてしまった鉄・錠・半次・おきん。炙り出され捕縛された半次の奪還と仕置を同時にこなすクライマックス。

半次斬首の日は折りしも雨。

本シリーズから演出に加わった工藤栄一監督が豪雨の中の大殺陣を仕切ります。

まだここまでは最終回にレギュラーの誰かが死ぬという不文律は確定されておらず、全員無事。情報収集と囮が主業務だったおきん(野川由美子)が仕置に参加(謎の強酸液を相手の顔面にかける)したり、せんとりつが顔を出さなかったりと、異例づくしな最終回でした。

反面、グループの基本フォーマット(冷徹なリーダー+熱血な若者+情報収集役+囮役の紅一点)やドラマの基本フォーマット(日常のゆるい雰囲気とクールな殺陣)などを確立した必殺スタンダードなシリーズでもありました。

また熱い必殺が観たいなあ…(←最早無いものねだり)。