デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

英国版十三人の刺客、と言うよりは…。 アイアンクラッド

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1215年、イングランド国王ジョンはご機嫌斜めでした。

「ったく馬鹿貴族どもが、ちょっとフランスに負けて領土とられたくらいで騒ぎやがって。そりゃ確かに負けましたよ、2回も。だからって国王の権限を制限するってどうことよ。何がマグナカルタだ。何が大憲章だ。俺の国なのに、俺の国なのに!」

己が無能ぶりを棚に上げてあちこち切れまくったジョンは、捲土重来と自分に反旗を翻した奴らへの復讐を誓い、デンマークの傭兵集めて弱きを挫き強きも挫く地獄の水戸黄門に。

ロチェスター城は小さいながらもイングランド南部を納める要の城。ここをジョンに抑えられては大変だ。

密名を受けた叛乱部隊はロチェスター城へ。

斥候としてデンマーク人が一足先に乗り込んでいましたが、邪魔だとばかりに瞬殺して篭城を開始。

フランスの援軍が来る迄、この城は守り抜く。しかし、それは予想を超える長く苦しい戦いの幕開けでした。

アイアンクラッド(2011年/ジョナサン・イングリッシュ監督)

第一次バロン戦争に材をとった歴史アクションです。

史劇というとどうしてもドラマパートが重くて退屈、という印象があるのですが、本作は事情説明と人物紹介をサクサクっと済ませると、早々に篭城突入。

以後、延々、奇襲、兵糧、総力戦、持久戦、人海戦術、飛び道具祭りと様々なシチュエーションでの戦いを繰り返していきます。

金で雇われた少人数の精鋭が馬鹿殿退治という図式から「英国版十三人の刺客」と呼ばれているそうですが、篭城+消耗戦という構図はむしろ「要塞警察」+「ブラックホーク・ダウン」と言った方が良いかもしれません。

見るからに重そうな剣を振り回すソード・アクションは、あっち真っ二つ、こっち真っ二つな力任せの破壊力。

なるほど、豚ってこうやって使うのか。立派な兵器じゃないか…。

消耗戦が続く中、ひとりまたひとりと倒れていく傭兵たち。

「俺がここで時間を稼ぐ!」
「お前、幾らで雇われたんだ?」
「5シリング」
「いい働きだ」

主人公は十字軍の殺戮蛮行がトラウマになっているテンプル騎士団のトーマス(ジェームズ・ピュアフォイ)。タイマン挑むはデンマーク軍リーダー。

「神はどこだ?」
「今、会わせてやる」

アクション重視(ゴア満載)のスペクタクル史劇です。