デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

その大国はメルカ。ジャイアントロボ/殺人兵器カラミティ

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前~中盤にかけてはどちらかと言うと“ギロチン帝王と愉快な仲間たちによる底抜け地球侵略ゲーム”でしたが、終盤突如ギアトップ。

クライマックスに向けた怒涛の重厚エピが展開します。その鏑矢が、

ジャイアントロボ/第22話・殺人兵器カラミティ」 (1968年3月4日放送/折田至監督)

いきなり舞台は国際政治。

ロボット建造において日本の後塵を拝する事になったメルカ共和国。あらゆる分野において世界一でなければならないメルカ共和国は日本にジャイアントロボの電子頭脳開示を要求。

ジャイアントロボの技術的秘密が公になれば、世界中の国々が争ってロボを作り出す事でしょう」

しかし、日本にとって最大の友好国であるメルカの要求を断ることはできず、国防省はロボの電子頭脳開示を決定(ここでメルカがどこの国の暗喩なのか分かりますね)。

開示された資料を元にメルカが作り上げたコピー・ロボット。その名はカラミティ。

Calamity…災難、惨事、大きな不幸。不吉極まりないネーミングです。

胸部にこれ見よがしなメルカ国旗をあつらえている以外、見てくれはジャイアント・ロボと一緒(写真2枚目)。

ただし、機能と装備は大鉈振るうバージョン・アップ。

受けた攻撃を全て180度反転させて相手にお返しする防御機能に加え、攻撃兵器として人類最後の兵器と言われる中性子爆弾を改造した小型ミサイルさえも装備。三度の飯より戦争が好きな大国仕様となっています。

満を持して起動実験が行われましたが、カラミティは命令を受け付けず。BF団に操られたスパーキーに略奪されてしまいます(写真3枚目)。

BF団の科学力をもってしてもカラミティの起動はならず。しかし、防御機能は生きているので、全ての攻撃が反転。

ロボのミサイル攻撃もヘアピンUターンで一人SM。更にレーザー光線もリターン・トゥ・マイセルフで両眼失明(写真5枚目)。

「わっはっは。これでロボはメクラだ!」(←地上波放送不可能決定)

ロボ後半は頻繁に原子力という単語が顔を出します。最終回に向けての伏線ですが、そもそもロボは原子力稼動する兵器として非核三原則に抵触している訳で、その存在理由そのものに対する疑問も言外に含んでいるような気もします。

そして、カラミティは何故メルカの命令を拒絶したのか。色々考えるところの多いエピソードです。

※参考:「“いきなり顔の法則”再び。ジャイアントロボ/第1話」
      →2013年4月7日