デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ファンダメンタルな奴は恐ろしい。 悪霊の棲む館

イメージ 1


本作を観て印象に残るのは霊の描写の怖さでも、死後の世界のオチでもなく、

“神の名を唱える輩にロクな奴はいない”

という事実でしょう。原理主義者の独りよがりな正義の押し付けがどれだけの不幸を撒き散らして来たか…。歴史を振り返るまでもありません。

「悪霊の棲む館」(2007年/ショーン・トレッタ監督)

敬虔な牧師一家惨殺(妻は自殺)という惨劇のあった館に幽霊出没の噂。

家の権利を引き継いだ遺族の依頼で“本当に霊が出没しているのか”の確認に来た調査チーム。

リーダーは心霊ハンター、カーター・シムズ(パティ・ティンドール)。メンバーはビデオクルーのコリン、新聞記者のイベット、それに教会から“遺族の名誉を守るために”派遣されてきた謎の女。

原題は「DEATH OF A GHOST HUNTER」。“ある心霊ハンターの死”って感じでしょうか。オープニング・ナレーションでも、この調査が彼女の死を以って終了したと語られているので、カーターが死ぬのは織り込み済み。

心霊(ゴースト)ハンターというのは、霊媒師でもエクソシストでもなく、科学的なアプローチによって選択肢の消しこみを行い、どうにも説明のつかない場合のみ、霊の仕業と認定する探偵みたいな存在です。

メンバー構成的にも「ヘルハウス」を思わせるものがありますね。

これで“リバーサー”のような大仕掛けなマシンでも出てくれば盛り上がるところでしたが、そこはリアリズム(?)重視で。

幽霊が出現するシーンは結構怖いです(特に殺された少女が“家政婦は見た”アングルで顔を覗かせるところ)。

後半は惨劇の真相と謎の女の正体といったサスペンス的盛り上げもあって地味ながら見応えのある作品になっています。

ただ、キリスト教原理主義者の女という存在がうるさい鬱陶しい腹立たしい(「ミスト」のマーシャ・ゲイ・ハーデンを若くしてちょっと控えめにした感じ)ので、鑑賞後のすっきり感はありません。

何かモヤモヤ系ホラーを連続レビューしてしまいました。次は気分を変えてスカッと系の作品にしたいですね。

※参考:「ヘルハウス」→2008年1月28日