ここは南米ブラジル熱帯雨林。
これぞ地の果て、な生まれ故郷ペロカオ(という地名が本当にあるのかは知りません)に腹ボテの妻(籍は入れていない)を連れて里帰りしたダグラス・シルヴァ。
向かえに来るはずの兄は「暑いじゃん」の一言で木陰シエスタ。
実家に到着したら死にかけた豚を解体して祝いの宴(食べたくない)。
『最近、家畜が殺されて大変なんだ。昨夜最後のヤギが殺された』
『やっぱ、チュパカブラかもしれねえなあ…』
『まぁたオヤジのチュパカブラが始まった。こんなのカリヴァリョ家の奴らに決まってるべや』
シルヴァ家とカリヴァリョ家は土地を巡って険悪な対立を永きに渡って繰り広げておりました。
シルヴァのボンクラ4兄弟は変死したヤギをこっそり解体して豚とミックス、恐らく村で唯一の社交場であるバー兼ダイナーに卸売り。
『死にかけの豚を殺したのか。腐った匂いがするぞ』
『馬ぁ鹿こくでねえ。新鮮殺したてのピチピチポークやないかい』
そこにカリヴァリョ家のボンクラ5兄弟が来店。シルヴァ家が卸した腐り肉を食べて末弟除く全員が景気良くマーライオン。
『おのれシルヴァ、今日と言う今日は許せん。休戦協定なんかクソ喰らえだ。ぶっ殺してやる!』
慌てて逃げるシルヴァのボンクラ兄弟。ところが逃げる途中の山道でオヤジの射殺死体を発見(実は銃が暴発して勝手に死んだ)。
『お、オヤジ! くっそぉカリヴァリョの奴ら、皆殺しにしてやる!』
という訳で全面抗争勃発。♪ちゃららー、ちゃららー。
ここまで約50分。ええっと俺一体何の映画観ているんだっけ?と思った所で唐突にメイン・キャラ登場。そうだそうだ、映画のタイトルも
「吸血怪獣チュパカブラ」
(2011年/ホドリゴ・アラガオン監督)
だった。この吸血怪獣、敵も味方も見境無しに殺戮しまくる平等野郎ですが、流石はブラジル産、マウントの取り合いから馬乗り顔面パンチが戦いの基本になっています。
この吸血怪獣だけでも十分意表を突いているのに、さらに人間の肉を喰らって若返る謎のオカルト・ホームレス(?)まで乱入。混沌メーター振り切り御免。
あんな体液、こんな体液入り混じってゴアシーンもお腹一杯。
密度、じゃない、湿度の高いブラジリアン・ホラーをご堪能ください。