デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

レベル0の苦悩。 とある科学の超電磁砲/幻想御手編

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『レベル0(ゼロ)って欠陥品なのかなぁ…』

総人口230万人。その8割が学生。全ての学生は超能力開発実験の対象とされ、レベル0(無能力者)からレベル5(超能力者)の6段階に振り分けられるヒエラルヒーの街、学園都市。

持つ物と持たざる者。

もし、訓練無しに才能を開花させてくれる魔法の鍵があったなら…。

とある科学の超電磁砲/幻想御手(レベルアッパー)編[北米版DVD-BOX]」(2009年10月-2010年3月放送/長井龍雪演出)

現在、第2期「S」が絶賛放送中ですが、まずは第1期のおさらいを。

第1話冒頭で掲示されるように、本作は“とある魔術の禁書目録 外伝”。

禁書目録のヒロインの一人である御坂美琴(常盤台中学2年。写真1枚目。学園都市第3位の超能力者)を主役に据えたスピン・オフ(と言うか別視点の禁書目録。いわば1枚のコインの裏表)です。

いきなり話が横滑りしますが、アニメの出来不出来を占う(私の勝手な)指標のひとつに“背景”があります。

街並み、家並み、山並み、道路、看板…。世界観の作り込み具合が端的に現われるのが背景ではないでしょうか。

園都市の景観からは虚構を絵空事にしないという作り手の決意みたいなものが伝わって来ます。

さて、本作、登場人物の多くが禁書と被っていますが、レギュラー枠でこっち専任なキャラが佐天涙子(写真4枚目)。

柵川中学1年。レベル0の無能力者。天真爛漫な性格ですが、その裏には無能略者の負い目、劣等感。能力者への羨望、嫉妬。

人の能力レベルを押し上げるアイテム“レベルアッパー”の存在は都市伝説と思われていましたが…。

本作では超能力の話ですが、記憶力、営業成績、運動神経、モテ度、歌唱力などに当てはめてみてください。

およそコンプレックスと名のつくものをひとつでも抱えているなら、彼女の苦悩が良く分かると思います。

偶然、手にしてしまったレベルアッパー。棄てられない。誘惑。使用。昏睡という深刻な副作用。

1万人の昏睡者を出すに至ったレベルアッパーの製作者は大脳生理学の研究者、木山春生(きやまはるみ。写真5枚目)。

かつて学園都市を追われた子供たちに生体実験を施し、仕組まれた暴走によって昏睡状態に陥らせてしまった女。

子供たちを覚醒させるための大規模演算処理を行う1万人の大脳ネットワークを構築する為にレベルアッパーを開発・頒布。

『あの子たちを助けるためなら、私は何だってやる。この街の全てを敵にしても、止めるわけにはいかないんだ!』

脳波ネットワークと繋がる事で、レベルアッパーに取り込まれた者たちの能力を自由に引き出す「多才能力(マルチスキル)」を発動させた木山と御坂の一騎打ちは壮絶。

さらに1万人の思念は「幻想猛獣(AIMバースト。写真一番下)」となって暴走。第1期前半の山場です。

レベル5の超電磁砲(レールガン)・御坂、レベル4の空間移動(テレポート)・白井黒子(写真2枚目)、能力はレベル1の定温保存(サーマルハンド)ですがハッカーとしては超一流の初春飾利(ういはるかざり。写真3枚目)。

この3人が主用メンバーですが、実は一番のキーパーソンはレベル0で体力勝負の佐天なのではないかと思います。

『佐天さんは欠陥品なんかじゃありません!』

敵味方サブキャラの端々までこれほどキャラが立っているアニメはちょっと無いかもしれません。

第1期後半は改めて…。