タイトル・ロールである“ランゴリアーズ”の写真を載せるべきか悩みましたが、止めました。
隠すほどのものではありませんが、“一体、何が出てくるんだろう”という期待と不安を是非体感して欲しいので。
ロサンゼルスからボストンへ向かうアメリカン・プライド航空の旅客機。
乗客の中には元妻が火事で焼死したという連絡を受け、急遽自身のフライトをキャンセルしてボストン行きに飛び乗った同社パイロットのブライアン(デヴィッド・モース)の姿も。
航路半ば、眠っていた乗客は盲目の少女の悲鳴で覚醒。付き添いの叔母がいなくなったという。
見渡せば乗客のほとんどが忽然と消失。客室乗務員の姿も無い。コックピットまで無人。
座席にはそこにいた人間が身に着けていたと思われる装飾品、ヘアピース、小銭、歯の矯正具、ペースメイカーが…。
残された乗客、僅か10名。
何がどうなったというのだ…。
という実にトワイライトな出だし。管制塔とは連絡がとれず、眼下に見えるはずのデンバーの明かりもなく、近隣を飛行している他機も見当たりません。
管制塔の誘導無しでローガン空港に着陸するのは不可能。ルートを変更してバンゴア国際空港に着陸したものの、そこも無人。
そこには匂いが無く、音の反響も無く、食べ物には味が無い。一体ここは…どこだ?
鉄塔の立ち並ぶ丘の向こうから聞こえてくる不穏な音。何かが近づいて来る!
会社に大穴あけた神経症のビジネスマン、トゥーミーは、幼い頃父親に聞かされた“怠け者を喰らいにくる魔物、ランゴリアーズ”の話をしますが…。
このランゴリアーズを出すまでの引っ張り方は匠の技。
2部構成のTVMで180分。前半90分が終わってもまだ出ない。後半に入って都合2時間が経過してもまだ出ない。こりゃひょっとして出さないまま終わるんじゃないか、諦めかけたその瞬間…。
出ました! 鉄塔を押し倒し、草木をなぎ倒して迫り来る様はさながら「ダンウィッチの怪」。
時空の裂け目に飛び込んでしまった一行が、置かれた状況を推理しながら脱出を試みる、というある意味地味ぃな展開なのですが、監督の力量でしょうか、思いのほか飽きません。
トム・ホランドは「チャイルド・プレイ」を監督した人。本作の翌年にはやはりキングの「痩せゆく男」という佳作を送り出しています。
時空の裂け目への再突入を試みる一行ですが、果たして…。
※写真一番下は嬉々とした表情でゲスト出演しているキング御大。
※参考:「白人の呪いをかけてやる!スティーブン・キング/痩せゆく男」→2012年2月28日