「艦長より達する。大統領命令は最終的に確認された。これより本艦はノベンバー軌道及びロメロ・チャーリーに対する攻撃を実施する!」
「今の大統領は一体誰なんですかねえ。次々とバケモノに…。エネルギー省長官あたりですか?」
「一昨日は国土安全保障庁長官だったぞ。もう噛まれていたがな」
「神よ、我らを赦したまえ」
「神よ、我らを救いたまえ」
原子力潜水艦から打ち上げられる一条の光。その光を衛星軌道上で追う国際宇宙ステーション。
「まただ。アメリカだけじゃない。ロシアも射ち込んでいる」
「ロシア? ミサイルを撃つ余裕は…」
「ああ、こちらの尻馬に乗ったのさ。それにマーヴだぜ。数は少なくとも大都市や軍の拠点は全滅だな」
「リビングデッドの次はファースト・ストライク? ハリウッドなら没にされているシナリオね」
「いや、採用されたようだ…おお、神よ!…アルマゲドンだ!」
何の前触れも無く始まった世界の終り。蘇った死者が生者を喰らう。物語中の最初の目撃者は授業をサボッていた藤美学園2年生、小室孝。
「学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD[北米版BD-BOX]」(2010年7月-9月放送/荒木哲郎監督)
今や「進撃の巨人」で時の人となってしまった荒木監督の出世作。
学園と銘打ってはいますが、発端の舞台が高校だったと言うだけで、物語は“理解不能だがボケっとしていたら喰われて死ぬ”というシチュエーションに投げ込まれた主人公達の生き残りシミュレーションです。
籠城という箱庭にすることなく、きっちり周囲の対応(警察は何を、自衛隊は何を、そして国家は何を…)を描いているのが素晴らしい。
ゴア描写は呵責なし遠慮なし躊躇なし。しかし、何より驚くのは百花繚乱舞い踊る巨乳の嵐。
女性キャラ全員が巨乳。頻度で言えば、ゾンビ→巨乳→パンチラ→巨乳→ゾンビって感じ。
ライフルの弾丸が揺れる巨乳をかい潜って飛んで行く様をハイパースローで描くに至っては、何故そこまで? と問い詰めたくなるこだわりよう。
豪華声優陣の熱演と相まって目移り必至(とか言いながら毒島冴子一点買い)ですが、やはりイチオシはデブでのろまな軍事オタク、平野コータ君でしょう。
自家製改造ネイルガンに始まり、チーフスペシャル、狙撃用ライフルとわらしべ長者。
アメリカのPMCブラックウォーター社で訓練を受けた事があるという“なんじゃそりゃそりゃ”な設定で正確無比なスナイプ・テクニックを披露してくれます。
写真上枠内は、“ルガーP08オランダ植民地軍モデル”を見て感涙にむせぶコータ君。
最初はバラバラだったメンバーが窮地を乗り越える毎にチームとして結束していく過程が嬉しくも頼もしい。
超高々度核爆発により全ての電子機器がオシャカになった状況で、EMP処置を施されていたハンヴィーを駆って正面突破を試みる孝たち。
尻切れな終りを非難する向きもあるようですが、これだけ風呂敷を広げてまともなオチなんか思いつくわけがない(せいぜい「世界が燃えつきる日」的ご都合主義に頼るのが関の山)なので、これはこれで良いと思います。
北米版BDは2枚組(DISC1に1~8話、Disc2に9~12話)で5,280円(因みに国内版は26,250円)。