ぬ、ぬかった…。北米版も英国版もクレジットを差し替える事はあっても本編に手を加える事はなかったのでタカを括っていた。
よもやテロップ/フリップ/吹き出しの類が全てイタリア語に差し替えられていようとは…。
これではGAINAXのお家芸“乱れ撃ち字幕攻撃”が堪能できないではないか。
恐るべしイタリア…。
「彼氏彼女の事情(LUI&LEI)[伊版DVD-BOX]」(1998年10月2日~1999年3月26日放送/庵野秀明監督)
舞台は県内随一の進学校・県立北栄高校。1年A組のクラス委員を務める宮沢雪野は成績優秀・スポーツ万能・容姿端麗・品行方正。
しかし、その実態は賞賛と羨望が三度のメシより大好きな見栄と虚栄と計算の仮面優等生。
そんな彼女の前に現われた本物の優等生・有馬総一郎。
とある事件がきっかけで二人の仲は急速接近。有馬にも“優等生であり続けなければならない”事情と二面性がある事を知った雪野は、仮面を棄てて自分に正直に生きる事を誓うのでした。
ってのが序盤の流れ。原作未読なので普通にラブコメのノリを想像していたら、二人はあっさり友人以上恋人未満の関係へ。
そう、本作に於いて恋愛成就はサブストーリーで、自分に正直に生きるために立ち塞がる障害を次々撃破していく男女の話がメインなのです。
ある意味「世界の中心でアイを叫んだけもの」の延長線上にあるとも言え、庵野がエヴァの次に本作を選んだのは極めて自然な流れだったのかもしれません。
虚飾を排した自分と向き合う戦い…。嗚呼、だから「夢の中へ」(EDソング)なのか。
“♪休む事も許されず 笑う事は止められて
這いつくばって 這いつくばって 一体何を探しているのか…”
雪野には様々な困難が絨毯爆撃のように襲ってきますが、雪野が他の少女漫画ヒロインと一線を画しているのは、頭脳明晰で行動力がある上に計算高さが半端無いこと。
間違っても便所で一人さめざめと泣いたりするようなキャラではないのです。
ある時は機転で、ある時は圧倒的暴力で敵対するものを屈服させ、次の瞬間には自らの陣営に誘い込み、これを仲間にしてしまう逞しさ。
この展開、どこかで…(「きん肉マン」だ!-笑-)。
取り繕う事をやめた剥き出しの自分。初めて出来た友達。恋人。そして雪野の周りにも“事情を抱えた”彼氏彼女が…。
中盤以降は群像劇。そして“庵野またかよ!?”(後半レビューに続く)。
★その問題の「後半」はこちら。