デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

神話世界をトレスする復活の儀式。 007 スカイフォール

イメージ 1

老けたなぁダニエル。君、本当に(撮影時)44歳か? それとも“世代交代”というテーマの関係上、老けメイクをさせられたのか?

逞しくも枯れ木のような佇まいは最早この世のものではありません。その蒼顔と光失くした両眼はまるで死神。

古きもの全てを道連れに…。

「007 スカイフォール

(2012年/サム・メンデス監督)


NATOが世界中に送り込んだスパイのリストが盗まれた! ボンドは現場から逃走する犯人を追跡中に被弾、更にアバランチ・エクスプレスな列車屋根上格闘中に味方の誤射で鉄橋から河へ転落。

激流に飲まれ、滝に流され、川底深く沈んでいくボンド。

奇跡的に一命をとりとめたものの、流れ着いた土地で酒に溺れた世捨て人暮らし。

ふと見上げたバーのテレビで流れたニュース。

MI6本部爆破と責任者Mの糾弾。

職務復帰を誓い本国に戻ったはいいが、復帰試験は散々(Mは結果に目をつむって復帰許諾)。

手負いの老スパイに勝算はあるのか?

ってなところが序盤のストーリー。

冒頭のアクションは流石の迫力ですが、クレイグに溌剌さが微塵も無いので、淡々と業務をこなしている感じ。殺伐

M(ジュディ・デンチ)に突きつけられる更迭勧告。「万年筆型爆弾なんてアンティークさ」とうそぶく若きQ。蜂の巣にされて爆発するゴールドフィンガー仕様のアストンマーチン

ボンドだけでなく、シリーズを支えてきた様々な要素が破壊と再生という手続きを踏んでいるようです。

冒頭の沈んでいくボンド。擬似的な死の体験。能力要件を満たさないままの復帰と危機。

夜、凍った湖面を撃ち抜いて敵共々湖底に沈んでいくボンド。水中関節技で相手を仕留めた後、照明弾を打ち上げて氷面を内側から照らして落ちた場所を確認。

沈下と上昇。神話の世界をトレスする復活(RESURRECTION)の儀式。

誕生50周年という事で、あちこち旧シリーズに目配せをしてくれていますが、ラストの“あっと驚くミス・マネーペニー登場”も含めて“サービス満点、でもこれじゃない感も満点”な最新殺伐ボンドでした。