恒例8月15日。今年は米海兵隊司令部が撮影したフィルムを日本が独自に編集したドキュメンタリー。
「海ゆかば」(1974年)
編集として山田洋造と御法川清がクレジットされているのみで、監督の表記はありません。
ミッドウェイ海戦のシーンのみ、ジョン・フォード(写真一番下)が撮影指導をしていますが、オリジナル・フィルムの監督が彼と言うわけでもないようです。
“太平洋は巨大な墓場である”
冒頭表示されるテロップの一節。大東亜戦争の重すぎる遺産。
映像は1946年の長崎からスタートします。
向こう30年は不毛と言われた長崎の地にも1年後には雑草が…。僅かながら垣間見える復興の兆し。しかし、何故このような事になったのかは誰も知らない。
何故、日本は負けたのか。時間は1941年12月のパールハーバーへ。
真珠湾奇襲の実映像。不謹慎ですが、やはり燃えます。
“パールハーバーは燃え続けた。それは世界中が戦争に巻き込まれた事を示す巨大な狼煙でもあった”
驚いたのはこの後のアメリカの対応。
実機を使い、ミニチュアを使い、奇襲作戦を忠実に再現、シミュレート。
日本軍はどこから来たのか、速さは、角度は、武器の性能は、避難と消火の段取りはどうすれば良いのか。
日本になくてアメリカにあったもの、それは“学ぶ姿勢”。
物資の違いだけじゃなかったんですね。やがて優勢だった日本軍の進攻にかげりが…。
“ガダルカナルは飢餓の島であった”
一言一言が重い。
何故、日本は負けたのか、という疑問から出発した割には、米軍が圧倒的優位を獲得した、そして今日も戦いは続く、みたいな所で終わっているので印象としてはやや尻切れ。
個人的には国内の秘蔵映像も織り交ぜて、末期のあがきをもう少し詳しく解説して欲しかったです。
特に大艦巨砲主義の鎮魂歌である大和の水上特攻(失敗)、回天、桜花など特攻兵器の開発と投入。
特に桜花は映画・ドラマの登場頻度が極めて低いので(私の知っている限り「花の特攻隊あゝ戦友よ」とモノクロ版サイボーグ009「太平洋の亡霊」くらい)、実機映像が(もしあるなら)観てみたかったです。
※左写真上部2枚は報道写真です。本編中の映像とイコールではありません。
※参考:
「日本のいちばん長い日」→2008年8月15日
「俺たちは人間じゃない、部品なんだ! 人間魚雷回天」→2009年8月15日
「馬鹿野郎!馬鹿野郎!馬鹿野郎! 肉弾」→2010年8月15日
「勝つ戦争ならやってもいいのか!? 激動の昭和史 軍閥」→2011年8月15日
「死ねなかった“あいつ”の為に。 近頃なぜかチャールストン」→2012年8月15日