『ありがとうございます、先輩。おかげで俺はスーパード変態にエボリューションできました』
『皆、俺に変態を分けてくれ!』
違う! そういうアニメじゃない(いや、そういうシーンもあるんだけどちょっと違う)!
少し時計の針を戻しましょう。
「えむえむっ![北米版DVD‐BOX]」(2010年10月-12月放送/長澤剛監督)
砂戸太郎。桜守高校1年。目下の悩みは制御不能なドM体質。
美少女から殴られたり罵られたりすると、何もかも忘れて悶絶する犬に変身。
こんな事ではまともな恋愛ができない。なんとかしなければ!
親友・辰吉の勧めで校内のお悩み相談室である“第二ボランティア部”を訪れた太郎。そこには1年先輩のドS美少女・石動美緒と太郎をドMに目覚めさせた張本人・結野嵐子が。
美緒は太郎のドMを治すには、命ギリギリの苦痛を与える事で生存本能を呼び覚ますしかない、と結論。殴られ悶絶、蹴られ悦楽。罵りはショパンの調べ。
変態はこの二人だけではありません。
太郎の親友・辰吉には女装癖が、嵐子は極度の男性恐怖症(男に触れられると反射的に顔面パンチ)、顧問(?)の保険医・鬼瓦みちるは美少女コスプレ写真収集家(盗撮含む)、発明部の日村は真性ロリコン(女子高生に向かって「寄るなババア!」)。
更に太郎の姉・静香は重度のブラコン。常に太郎の体を狙っています。母・智子は極度の息子ンプレックス。娘・静香すら恋敵と看做して鍔迫り合い。
監督が長澤剛という事もあって、太郎のためいき顔が八坂真尋そっくり。加えて発情姉・静香の中の人が阿澄佳奈だったりするので、ニャル子前史な雰囲気も。
果たして太郎のドMが完治する日はやってくるのか。
OPクレジットでスタッフ全員、名前の前に「S」か「M」のマークが。
原作者と監督は「ドM」、シリーズ構成の小鹿りえと総作画監督の堀たえ子が「S」。
きっと現場は歓喜が溢れ渦巻いていたことでしょう。
因みに冒頭に掲げた台詞は、発明部部長・柊ノアの“人類変態化計画”を阻止する為、DX変態ベルトでスーパーパワーを発揮した太郎が、更に美緒にボコられる事でスーパード変態(どこから見てもスーパーサイヤ人)にエボリューションした時のもの。
2010年の作品ですが、キャラデザや音楽がそこはかとなく80’S。
この手触り、嫌いじゃありません。