
どう考えても結びつきそうにないこれらの要素をフランケンシュタインのように継ぎ接いだメキシコ映画、それが、
「暴行魔ゴリラー」(1969年/ルネ・カルドナ監督)
腕の立つ外科医クロールマン博士は悩んでいました。
最愛の息子ジュリアが白血病! 治る見込みは無い。より強い血液が必要だ。そう、例えばゴリラのような。
しかし、ゴリラの血を全身に送るには人間の心臓ではパワー不足。こうなったら心臓ごと移植してしまえ! よし、ゴリラをかっぱらいに行くぞ!
どこを突っ込めばいいのか見当もつかないワン&オンリーな理屈を捏ねたクロールマンは助手を連れて動物園に侵入、麻酔銃ぶっ放してゴリラを略取。
見事、心臓移植手術は成功(ゴリラは手術台の隣にある焼却炉で火葬)したものの、ジュリアはゴリラ顔の怪物ゴリラーに変貌!
まあ、蛇の血清打たれて蛇になっちゃう映画もありましたから、ゴリラの血が全身に回ればゴリラになりますよね。
「強力すぎるポンプ力で大量の血が脳に送られ、障害が起きたのだ!」
おっさん、その理屈は正しいのか?
身体も筋骨粒々になったジュリアくんは窓を破って夜の街に…。
男は惨殺、女はレイプ(騒がれたら惨殺)。お前、絶対童貞だろ。
やはりゴリラは失敗だったか(当たり前だ!)。今度は強い人間の心臓と交換しよう。先日試合中に頭打って運ばれてきた女子プロレスラーがいたな。あれにしよう。どうせ昏睡状態だし、覚醒しても機能障害は免れん。よし、患者をかっぱらいに行くぞ!
医は妖術と化したクロールマンは病院から患者さらって再手術(心臓移植シーンは本物の医療映像を流用しているっぽい)。
一旦は元の姿に戻ったジュリアくんでしたが、ゴリラーに再変身。再脱走して殺戮カーニバル再開。男は惨殺、女は(以下略)。
すったもんだの挙句、ゴリラーは幼女を抱えて病院の屋上(せいぜい3階程度)へ。ジュリア、お前、ロリコンだったのか…。
警官隊に囲まれ、サーチライトで照らされるゴリラー。
ええっとスケールが小さすぎて分かりませんでしたが、これひょっとして「キングコング」オマージュなのか?
そう言えば、外科の名医が自分の子供助けるために、かつて自分が助けた人間を助手にして殺人を繰り返すってプロットは「顔のない眼」まんまだな。
あたしが主役よ、な顔して登場する覆面女子プロレスラーがいるので、てっきり最後はルチャドールvsゴリラーのカベジェラ・コントラ・マスカラになるのかと思いましたが。
名作の構図をおっぱいと血糊でなぞるとは…。恐るべしメキシカンB級スプラッター。