柳の下でドジョウを養殖する男、ウィリアム・ガードラー。そのデビュー作。
ちょいと仕事のし過ぎでテンパっちゃった女性ピアニスト、ルシーナ。
とある総合病院に入院したものの、ある日目が覚めたら知らない天井。寝ている間に勝手に転院させられたらしい。
不気味な看護婦、頭からすっぽりと白い布を被った入院患者、軟禁同然の病室。ここは、一体…。
そこはサタニストの巣窟。ルシーナは悪魔に捧げる生贄の供物。
自作のカントリーソングに乗せて夜の街道を走る救急車というオープニング・ショットが実にいい感じ。この監督の非凡さが伺えます。
色調が滅茶苦茶とかピントボケボケとかそんな事は瑣末な事です。
ガス状の煙が消火器とか、襲ってくる毒虫が全部ゴム玩具とかそんな事も大した問題じゃありません。
クライマックスに登場するサタンの着ぐるみに比べれば…。
監督の言によると「ローズマリーの赤ちゃん」で使用するはずだったものを入手した、との事ですが、本当か?
どう贔屓目に見ても、幼稚園の節分イベントでバイトくんが着る赤鬼の着ぐるみにしか…。
笑うべきか呆れるべきか、ちょっと対応に困ります。
低予算故のアラはほぼ全カットに見られますが、全体の雰囲気は嫌いじゃありません。
ルシーナを演じたカーラ・ボレリ(写真下右)がキャサリン・ロス(写真下左)と似たような空気感を醸し出していて、「ローズマリーの赤ちゃん」の二番煎じと言うよりは、79年の「レガシー」を先取りしたような印象です。
制作費は5万ドル。当時ガードラー24歳。カーペンターと肩を並べたかもしれない男。生存時間30年と3ヶ月。改めて合掌。
※参考:「魔法の熊手が宙を舞う! グリズリー」→2009年10月13日
「DVDを出せ!今すぐ出せ! マニトウ」→2009年12月4日
「この独創的パクリは最早芸術。 マニトウ(輸入盤DVD)」
→2010年11月27日
「悪魔祓うならソウル・バー。 アビィ」→2013年9月16日