丁寧に撮ろうとしているのは分かるのですが、苦労が何ひとつ報われていない残念のお煮しめ。
「ジュラシック・ブリーダー」(2013年/ダン・ビショップ監督)
例によってテキサス。マッドなオヤジが育てている恐竜の1匹が脱走して自然と一体化しようとしていたネイティブおばさんをガブリ。
このガブられたおばさんの娘(巨乳ネイティブ)が主人公。
不幸にもこの町に立ち寄った運の無い人たちが次々酷い目に遭うというのがお話の骨子…なのですが。
まず、マッドな科学者(ただのデブオヤジにしか見えない)が早々に死んでしまうので、こいつが何の目的でどうやって恐竜を生み出したのかの説明がビタ一文無い。
ま、兎に角、おっさんが飼っているのですよ、恐竜を。テキサスではよくある事なのでしょう。
恐竜くんは他にも色々喰い荒らしているので、FBIとCSIが捜査にやってくるのですが、FBIは小汚い事務所にやさぐれたおっさんが二人だけ。飛んできたCSIもひとりだけ。
たまたま通りかかった人生はずれクジの人たちは全部で6名。やたら描写が丁寧ですが、本当にどうでもいい連中なので単なる尺稼ぎにしかなっていません。
何の伏線にもなっていない背景をじっくり見せておきながら、こいつらが殺される(喰われたり踏み潰されたり)シーンはウルトラあっさり。
下手すると見逃してしまうくらいのタメの無さで次々消去されていきます(実際、「へ? 今こいつ喰われた?」と巻き戻す事数回)。
こんなモブ並みの扱いしかしないんなら、キャラの説明とかいらんだろ。
FBIはモーテルで寝ているだけで活躍ゼロ。コメディ・リリーフにもなっていません。
廃工場に逃げ込んだ主人公がそこで母の遺品と思しき手斧を発見(何でそんなものがそこにある?)。
「お母さん、ありがとう!」とか言うので、何か霊的な力でもあるのかと思ったら、ただ投げつけるだけ。しかも相手のダメージゼロ。
最後にはガソリン撒いてライターで火をつけて…って結局、白人の文明に頼るんかい!?
何に引火したのか分かりませんが工場全体が連鎖式に大爆発。どんだけ大量の危険物質が放置されていたんだ?
恐竜の造詣はなかなかだし、照明とかかなりきちんと計算して撮っているのですが、何せ登場人物が全員ボンクラなので話が一向に盛り上がらす、89分が長い長い。
要するに監督・脚本のダン君に才能が無いという事なのでしょう。地雷は踏んで何ぼという猛者にはお薦めです。