デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

日本文化の教材に。境界線上のホライゾン[北米版BD-BOX]

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「いい、あんたはこれからずっと泣くように生きなさい。笑う時も怒る時も生まれたばかりのように。そして、それが出来ない人を救いなさい。あんたは人が生まれてから失ったり奪われたりしたものを取り返す生き方をなさい。あたしはそれを手伝ってあげる」

正直、世界設定の理解が全く追いついていきません。台詞の意味も最初は何のことやら。

でも、やめられない。続きが気になる。気がつけば泣いている。

何だ、このアニメは…。

境界線上のホライゾン[北米版DVD-BOX]」(2011年10月-12月放送/小野学監督)

良く理解していない人間の説明なので絶対理解できないと思いますが、設定を簡単に説明すると…

遥かな未来。人類は天上に進出して神となったが、幾多の過ちからその力を失い、再び地球に還って来た。

いつの日か、再び天上に戻る力を手にする為、歴史のトレス(前地球時代の歴史を集約した書物「聖譜」の記載に則った歴史再現)を試みている世界。

かろうじて棲息可能な極東の土地、神州(日本ね)を世界地図に見立て、日本史の戦国時代と世界史の30年戦争時代をやり直しつつ、各国が覇権を争っている世界。

まあ、他にも異空間に神州をコピーした重奏世界が、現実側神州の引き起こしたとある事故によって崩壊・落下。大半が消失しつつも一部世界が現実側に上書きされてしまったために現実側と重奏側で騒乱勃発、重奏側が勝利したなど様々な要因があるのですが割愛。

何せ原作文庫1巻が上巻543頁、下巻767頁、合計1,310頁という打撃系武器として十分使用可能な厚さになっており、設定解説だけで大変な分量になっていますので。

更に困った事に漢字による設定造語が多数存在。きょうどういん(教導院)、せいふ(聖譜)、せいれん(聖連。聖譜連盟の略)、たいざいぶそう(大罪武装)、まっせ(末世)など。

これを音だけで脳内変換するのはかなりのハードル。そこで、活用したいのが北米版ならではの英語字幕。

教導院はAcademy、聖譜はTestamentなど理解を助けてくれます。

逆に外人にとって頭が痛いのが漢字による言葉遊び。これに関しては字幕の他にテロップが出て細かい補足をしてくれています。

“後悔通り”が“トーリ(主人公の名前)の後悔”を掛けている、という台詞の時は、

“Way”in Japanese is“Tori”. So“Remorse way”can also mean“Tori’s Remorse”.

という解説が入ります。また、忠勝が「ただ勝つことが俺の忠義」という台詞では、

Tadakatsu is actually playing with words. His name means“Loyalty and Victory”.

というテロップが。更に親切なことに日本の文化に対しても事細かに解説。

「その衣装から察するに白拍子でござるか?」という台詞には、

Shirabyoshi were femail dancers who performed for nobles and high-ranking samurai from the end of Heian Period(794-1185) to the Kamakura Period(1185-1333).

という「WIKI連動ですか?」な説明文が。

日本文化の教材として使用可能なんじゃないでしょうか。

1期は全13話。原作が1,300頁ですから、1話100頁換算です。

2期のレビューも近いうちに(その時はもう少しストーリーに突っ込んだお話ができるように…なっているといいなぁ)。