デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

そこは差し替えるなよ北米版。 ガールズ&パンツァー♯7-9

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満天の星空。白一色の地平線。雪を蹴立てて走行するプラウダ高戦車KV-2、JS-2、T-34

ここに隊長カチューシャと副隊長ノンナの歌う“カチューシャ”が被る。ガルパンの中でも屈指の名場面です。

どんな(大人の)事情があったにせよ、ここ差し替えたら駄目だろ北米版BD。

Amazonのレビューによると、音楽をインストにしちゃったから、カチューシャとノンナが歌っているショットもカットになっているようで。

いくら廉価とは言え改竄にも等しい修正があっては…。今回ばかりは国内版購入です。

ガールズ&パンツァー/第7~9話」水島努監督)

軽く流されてしまったアンツィオ戦に続く3回戦(準決勝)の相手は昨年優勝校プラウダ

待っていたのは指揮官としての試練。全編見せ場と言っていい名勝負エピです。

みほの作戦は、じっくりと様子を見る、でしたが、勢いに乗る部員たちは短期決戦を主張。みほは戦意高揚を優先してこの提案を受け入れますが、プラウダの巧妙な罠に嵌って窮地に。

完全に包囲された大洗にプラウダは降伏を勧告。条件は土下座。猶予は3時間。

初出場で準決勝まで来れたんだから上出来じゃないか、という麻子に桃が衝撃の一言。

「何を言っている?! 優勝できなければ我が校は廃校になるんだぞ…」

絶句する部員。もしこの事を事前にみほが知っていたら、皆を説得してでも勝ちに行く作戦をとったかもしれません。

降伏はしない。最後まで諦めずに戦う。しかし、篭城の想定はしていなかったので、食料も暖を取る道具もない。

飢えと寒さで低下していく士気。そこでみほがとった行動とは。

スターリングラード”な状況下で展開するドラマ部分の見せ場もさることながら、本エピは音楽面が秀逸。

カチューシャを歌いながらの進撃。ノンナがカチューシャに歌う“コサックの子守唄”、そして折れかけた部員の心を立て直す起死回生の“あんこう踊り”。

まさか“あんこう踊り”で気持ちがひとつになるとは。

もうひとつ、私が特にお気に入りなのが、斥候に出た秋山優花里とエルヴィンが歌う“雪の進軍”。

全く以って救いの無い軍歌ですが、この二人が歌うと妙に明るく希望が湧いてくる気すらするから不思議です。

BDの特典OVA「スノー・ウォー」では、この時の偵察内容を詳細に描き、雪の進軍フルコーラスを歌いきるという偉業を成し遂げています。

音響面にも触れておきましょう。BDでは従来のステレオ音声に加え、ウーハー用の重低音を加味した2.1チャンネル仕様(名づけてセンシャラウンド←座布団1枚!)になっており、プラウダ戦で絶大な効果をあげています。

ドラマ、歌、サウンド。見所・聴き所満載の準決勝戦でした。