デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

超テキトーの美学。 バトル・オブ・アトランティス

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脚本書いた奴は酔っていた(ラリっていた)のか、それとも自分だけの電波を受信していたのか。

千手観音でも突っ込み切れないテキトーの美学。これは最早芸術か。

「バトル・オブ・アトランティス(2013年/ジャーレッド・コーン監督)

邦題だと分かりにくいですが、原題は「ATLANTIC RIM」。中身の想像は容易につくと思います。

油田やらタンカーやらが相次いで消失。深海潜って調べてみたら油田、タンカーの残骸がごーろごろ。しかもそこには謎の巨大生命体が。

おっとこれは政府が極秘裏に建造していた汎用人型決戦兵器(今回に限り、固有名詞は私がテキトーにつけます)の出番だぜ。

パイロットは軍の鼻つまみのヤンキー兄ちゃんとヤンキー姉ちゃんとスキンヘッドの黒人。

3人が横一列に並んでスローで登場。その演出やっていいのはスター俳優使っている時だけだ!

やたら広いコクピットでどれが操縦桿かも分かりませんがテキトーに動かして海底へ。

二足歩行するマンダみたいな海龍(命名:マンダラケ)と遭遇して戦闘開始。しかし、アウェーの弱みで大苦戦。

司令部が撤退命令を出しますが誰も言うことを聞かないので、遠隔操作で起動停止(やられちゃうだろ!)。

ヤンキー兄ちゃん機(長いのでヤン機と略)だけが、停止信号の“圏外”で追撃続行。3機ともほぼ1箇所と言っていい場所にいたはずだが何故1機だけ圏外?

陸に上がったマンダラケとヤン機が戦闘再開。ヤン機がレールガン撃ち損なってビル大爆発。街に被害が出ているんだから残り2機も加勢に回せばいいのに、どちらも起動停止のまま。

ヤン機がマンダラケの口こじあけた所に軍の攻撃機がミサイル打ち込んで何とか退治。

ヒーローになったと思ったヤンキー兄ちゃんは命令違反で逮捕され営倉行き。

実は軍上層部ではマンダラケが数億年前の生き物で、その卵は原油の中で数千年を過ごす事を解明しておりました(実験的ソナーで海底探査をして卵のありかも確認)。

「卵の数は?」「ふたつ」

「その位置は?」「わかっております」

ちょっと待て。ふたつ? そりゃ少なすぎないか。ここはインパクト的にも「少なく見積もっても2万」くらいの事言えよ。

なんて事言っている間に2個目の卵が孵って上陸。軍の基地へ。

営倉の見張りはヤンキー兄ちゃんを中に残したままバックレ。ヤンキー姉ちゃんとハゲ黒人が営倉のドア開けようとして大苦戦。

最後はトラックから金槌持ち出してドアノブ連打。

おいおい、お前ら軍人で、そこ軍事施設だろ。何故、銃を携帯していない。あと、金槌振り上げるのをクライマックスみたいにスローで撮るのやめろ。

見事、ドアノブは壊れ、ヤンキー兄ちゃん救出成功(どうでもいいイベントだなあ)。

マンダラケ2号はステルス爆撃機のミサイル投下で沈黙。沸き立つ本部。

しかし、マンダラケ2号はこっそり海へ。そしてマンハッタンへ再上陸。

「マンダラケが現れました」「そんな馬鹿な!」

馬鹿な!じゃねえよ。お前ら死体の確認もしてないのか(マンダラケが海に逃げるとき、すぐそばをヘリが飛んでいたが何を見ていたんだ)。

一方、パイロット3人には新兵器が。どう見ても100均で売っている安物のカチューシャですが、それをつけるとパイロットの動きと汎用人型…ああもうロボットでいいや…がシンクロするらしい。

早速試してみる3人。確かにパイロットがパンチを繰り出すとロボットもその動きをコピーして反応…ああ、ちょっと待ってくれ。君ら全員椅子に座っているように見えるが足は、フットワークはシンクロしないのか?

とここでパイロット3名に出撃命令。

「了解! でもどうやってニューヨークまで?」

「飛ぶのよ」

何と、パイロットも知らないうちにロケット噴射機が搭載されておりました。飛行訓練ゼロぶっつけ本番で3機は飛翔。一路マンハッタンへ。

「うおお、こいつはデカい!」

大きく育ったマンダラケ2号改に3機は“連携って何?”な攻撃をしかけますが、まるで通じず。

何故か本部では、中将と柳生十兵衛なアイパッチ親父が「核ミサイルしかねえ!」「馬鹿こくでねえ!」という低次元かつ非現実的な押し問答を展開。

「既に大統領のOKも出ている!」

マンハッタンに核攻撃許可って馬鹿か、その大統領。

結局、言い負かされた柳生十兵衛が、腹立ち紛れに原子力潜水艦にミサイル発射を指示(まあ、よく言えば「アイアン・ジャイアント」リスペクトかもしれませんが)。

ヤン機が妨害電波を使ってこれを無効化(理屈は分からん!)。ミサイル抱えたままマンダラケを突き上げて一気に成層圏へ。

待て待て待てい! さんざっぱら、デカいの歯が立たないの言っておきながら、一機で宇宙まで運べるのかよ。

だったらさっさと街中から移動させろよ。ってか3機で地球外に放り出せよ。

嗚呼、何故こんな作品にこんな文字数を費やさねばならんのだ。力尽きたので以下略。アサイラム×アルバトロス。面目躍如な逸品でした。