
エルム街の悪夢ほど理不尽ではなく、現実世界の物理法則にそこそこ縛られながらも“なんでもアリ”な空間を創出できる…。
どう頑張っても、ゾンビと人為的なクリーチャーしか出すことの出来ない「バイオハザード」より遥かに作り手の自由度は高いと言えるでしょう。
なのでもうちっと頑張って欲しかったなぁ…。
「サイレントヒル:レベレーション」
(2012年/マイケル・J・バセット監督)
(2012年/マイケル・J・バセット監督)
原作ゲームは前作「1」から地続きの続編である「3」(やりこみましたよ!)。
まずは、アデレイド・クレメンスのヘザー・コスプレ(写真1段目。右がアデレイド、左がオリジナル)の可否。
微妙っちゃあ微妙ですが、北村監督の「NO ONE LIVES」で、アデレイドにちょっと思い入れが出来てしまったので、わたし的にはOKです。
攻略ルートは、悪夢→モール→自宅経由してサイレントヒル→病院→遊園地とほぼゲームと同じ順路なのですが、ひとつひとつが短過ぎ。
ダグラス(探偵)は出てきたと思ったら、大したヒントを与える間も無く退場。おいおい、こんな扱いならむしろ出さない方が良かったんじゃないか。
ヘザーはゲームの主役(プレーヤー)ですから、本来“戦うヒロイン”なのですが、全然サバイバルしてくれないので、ドキドキ感がありません。
やはり、ナムボディくらいは鉄パイプで一蹴してくれないと…。
あと、学校のシーンとかまるっといらないですね。
ヘザーと恋仲になるヴィンセントも不要(ゲームとはかなり立ち位置が異なる)。ヘザーが単独で謎に立ち向かい、要所要所でダグラスが助言を与える、という流れで良かったと思います。
霧を灰に置き換えた街並みとか、音に反応するバブルヘッド・ナース(写真3枚目)や三角頭レッド・ピラミッドなど視覚効果は頑張っていますが、これらは全部1作目の功績。
今回のオリジナルは、マネキンのパーツが組み合わさった蜘蛛のようなマネキン・モンスター(写真2枚目)と、どこから見てもヘルレイザーのバッタもんにしか見えないミショナリー。
どちらも「いや、サイレントヒルのキャラじゃないだろ、これ」な仕上がりで、世界観ズレまくり。
自由度高いと言っても調和を乱してはいけません。
マルコム・マクダウェルとキャリー・アン・モスが中ボス、ラスボスとして登場していたのは驚きでしたが。
もし、続ける気なら一旦リセットして、単独シナリオとして高い完成度を誇る「2」を映画化してください。世界観を理解している監督の手で。