
“病院ホラー”は難儀です。あの御大ですら「ザ・ウォード/監禁病棟」では上滑りしていましたし(御大絡みでは「ハロウィン2」もわたし的にはちょっと…。落合正幸監督の「感染」は結構好みではありました)。
サスペンスとしてなら「コーマ」、「面会時間」などの佳作がありますが、ホラーとなると大リーグボール並みの変化球になるか、超オーソドックスな直球勝負のいずれかに。
本日ご紹介するのは後者。
「機械じかけの小児病棟」
(2005年/ジャウマ・バラゲロ監督)
RECシリーズの監督さんですが、今回は正攻法。
スペイン映画ですが舞台はイギリス、ワイト島。
老朽化で閉鎖が決まったマーシー・フォールズ小児病院は患者移送の真っ最中。
しかし、近所で列車事故が起きて大量の怪我人が出た為、移送先の病院が一気に万床。さらに、夜勤の看護師が“健康上の都合”で退職。
ええい、このクソ忙しい時に! という訳で、臨時の看護師としてエイミー(キャリスタ・フロックハート。お久しぶりですアリーさん)が急遽ワイト島に。

病棟には難病の少女マギーが。エイミーは彼女からシャーロットという霊の存在を聞かされます。最初はマギーの不安が生んだ妄想だと思いますが…。
子供の手足をボキボキと折っていくシャーロットの力技はなかなか。
脆いもんですねえ、子供の骨って。
邦題はやる気ゼロですが、原題は「FRAGILE」。意味は脆弱。
イエスのアルバムタイトル(邦題「こわれもの」)と一緒ですね。
余談ですが、音楽関係者はこの単語が大好きなようで、スティング、ELT、Mr.Children、川本真琴らが同名の曲を書いている他、大西順子、宇都宮隆、Nine Inch Nails、畠山美由紀らが同名のアルバムを発表したりしています。
シャーロットとは何者なのか、という謎解き(察しの良い人はすぐに分かります)を経てクライマックスに登場したシャーロットは…うーん、ダダに変身しようとして失敗した五輪真弓って感じでしょうか。

怖くはないですがインパクトはあります。
手がかりを握っていそうな人が次々死んでいく様はちょっと「オーメン」っぽいかも。スコア書いたロセ・バニョスさんには申し訳ないですが、音楽を全編ゴールドスミスの「アベ・サターニ」に差し替えたら5割増しで盛り上がるような気がします。
全体通して地味ぃな仕上がりですが、雰囲気系ゴーストストーリーがお好きな方には良いかもしれません。
再び余談ですが、病院のテレビにバスター・キートンの「蒸気船」が映っておりました。ちょっと観たくなってしまいますね。