『気づいたの。きっとね、この世界に意味なんかないのよ。でも、それって素敵じゃない。だって無いなら自分で勝手に見つければいいんだもの。そして見つけたわ、私は。私がここにいる意味を』
縁(えにし)が音となり響いて届く。
「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト[北米版DVD‐BOX]」
(2010年1-3月放送/神戸守監督)
辺境の街、トロワ州セーズ。石畳の街。街を守った乙女の伝説が今も息づく街。
この街の駐留部隊であるヘルベチア共和国陸軍第1121小隊(通称:時告げ砦)に配属されたラッパ吹きの少女、空深(そらみ)カナタ。
かつて戦場で迷子になった時、助けてくれた女性兵士の奏でたトランペット曲(アメイジング・グレイス)が忘れられず、軍隊に入れば音楽が学べる、という大いなる誤解で入隊した天然少女。
戦略的有用性皆無の1121小隊は構成員僅か5名。しかも全員女。規律も緩くまったりとした毎日。
小隊にはトランペットの師匠、リオ曹長が。しかし、なかなかラッパは上達せず。
『今度の子は下手だねぇ…』
『才能ないのかなぁ…』
『才能ってのは諦める奴の最低の言い訳だ』
街の人や仲間に支えられ成長していくカナタ。その姿は周りにも影響を与え…。
『あなたはいつも伝えようとする。想いを言葉にすることを恐れない。それって凄い事だと思うわ』
『憧れってメガネはいつもピンボケなのさ。いつかあんたがそのメガネで見られる時、辛さが分かるよ』
「魔女の宅急便」のような舞台で「けいおん」のような日常。しかし、この世界がどうなっているのか、も徐々に明らかになっていきます。
『昔は海に生き物がいたなんて信じられない』
海は死に、陸地も大部分が砂漠化、人の住めない“ノーマンズランド”に。残った僅かな土地を各国が奪い合い、殺し合い、少ない人口を更に少なくしている。
第1121小隊唯一の戦力は動かない戦車1台。しかし、その戦車はかつて戦場を炎に染めた旧時代の技術の結晶、高性能多脚戦車「タケミカヅチ」。
言ってみれば、ギガント、巨神兵の末裔です。このタケミカヅチの復元に全精力を傾けているのが寒凪(かんなぎ)ノエル伍長。
国境に集結するローマ帝国軍。その出生の秘密から休戦協定の人柱となる事を覚悟するリオ。ローマの女性兵士を庇った事から接収される時告げ砦。遂に覚醒するタケミカヅチ。
果たして戦争を停める事はできるのか。
確かにジブリと京アニを足して割ったような印象はありますが、決してパクリではありません。すこぶる良心的な心揺さぶるアニメだと思います。
本田美奈子が最後に愛した曲「アメイジング・グレイス」にちょっとした思い入れがあるという“下駄を履かせた感情”があるのも事実ですが…(大島ミチルの音楽も良いよ!)。
『行こう、夢のその先に。いつか世界が終わるのだとしても、その瞬間までは私たちの未来だ!』