「私は昔、意思のない人形でした。
望むべき結果を最善の方法で手に入れる自動機械。
でも、家族ができました。もしかしたら友達も…。
何が来ようと構いません。友達が望むなら、平凡と普通のために、
いくらでも血にまみれましょう。
感謝されたいわけじゃありません。ただ、嬉しかったから。
だから、友達が余計な気を使わないよう、
秘密のうちに全てを片付けましょう。
逆らうものは冥土に送るのです。友達、メイトだけに!」
いきなりサブキャラの独白で始めてしまいましたが、それくらい魅力的なのです。邪神(やがみ)かがみという娘は。
「ささみさん@がんばらない[北米版DVD-BOX]」
(2013年1月-3月放送/新房昭之監督)
ささみさん(月読鎖々美)は引き篭もり。
月読神社の巫女にしてニニギノミコトの子孫。最高神アマテラスの力をその身に宿しています。
次期巫女となるため、激しすぎる修行に打ち込んでいましたが、漫画喫茶のインターネットで世界と繋がり、今まで当たり前と思っていた事が実は当たり前ではなかった事を知り兄と共に出奔。
“もう、がんばらない”事を宣言し、生活の行動全て(除く排泄)をお兄ちゃん(職業:教師。何故か常に鞄や紙袋やバケツで顔を隠している)に委ねる究極の引き篭もりに。
最高神は(本人が意識する・しないに関わらず)下位の神々を望むままに動かすことによって世界を“改変”する事ができます。
つまり、八百萬の神々が最高神のご機嫌をとろうとして世界の形を変えてしまうのです(この辺りの設定はちょっと「ハルヒ」っぽい)。
お兄ちゃんとは別にささみさんをアシスト(?)しているのが邪神三姉妹。
長女・つるぎはささみの担任教師にして、アマテラス本人。
次女・かがみはささみのクラスメイト。つるぎが切り離した体の一部に「オカルト秘密結社アラハバキ」が霊的改造を施したロボット。002と004を足しっぱなしにした最終兵器彼女です。
三女・たまは、つるぎが後継者として生み出した次世代神。見た目は大人ですが、生まれて間もないので実年齢は小学生。
彼女達の非日常的な日常を描くのがテーマなので、話が大きくなるような、ならないような…。
学業復帰したささみに「友達になって」と言われたかがみはしぶしぶ承諾しますが、友達らしいお付き合いは皆無。態度もそっけない。
実は最高神に友達指名されたかがみに八百萬の神々が嫉妬して影で嫌がらせを。かがみはささみに余計な気を使わせないよう、裏でボロボロになりながら対処していたのでした(冒頭掲げた台詞はこの時のもの)。
感情を持たない、涙を流す機能もない機械仕掛けのかがみでしたが…。
天真爛漫に見えるたまの笑顔も、「皆がたまにつられて笑ってくれるように」一生懸命作っていたものでした。
「私はもうちょっと頑張るべきだったか?」(アマテラス)
「私、頑張る。もうちょっと頑張る。少し休んだらまた…」(ささみ)
タイトルとは裏腹に、皆とてつもなく頑張っているお話でした。