
「アインなんて呼ばないで。私はエレン。そう望まれ、そう生きる」
1クール12話というリズムが染みついてしまった体に、全26話は大河の響き。
辿りついた先は、やはり“名乗り”。
「Phantom~Requiem for the Phantom~(北米版BD-BOX)」(2009年4-9月放送/真下耕一監督)
アメリカ。不幸な偶然で犯罪組織“インフェルノ”によって暗殺者として育成される事になった日本人旅行者、吾妻玲二(あずまれいじ)。
薬と暗示によって過去の記憶を消され、正確無比な殺人機械に。
教官はアインと呼ばれる少女。最高の暗殺者に捧げられる称号“PHANTOM”の持ち主。

やがて玲二はツヴァイという名を与えられ、アインと共に殺しの世界へ。
彼らを使ってインフェルノ内で優位なポジションを得ようと画策するサイス・マスター。そうはさせじと権謀術策を巡らす女性幹部・クローディア。
自分以外は全て手駒と看做して駆け上っていく野心家クローディア。ここいら辺の展開は「ガングレイヴ」と通底しています。
『いつかは走り疲れて止まるんだ。その時、地に足が着いていないでどうするのさ』
『このスピードで駆け抜けた時だけ見える景色があったのよ』
番号ではない人間の名前“エレン(江漣)”をアインに与える玲二。錯綜する陰謀の中で引き裂かれる二人。ひとり暗黒街でPHANTOMの称号を引き継いだ玲二。
その玲二が見出した才有る少女キャル。決して離れないと誓った二人でしたが…。
エレンとの再会、互いの上司を裏切っての逃避行。二人が消息を絶って2年…。
ここで驚きの超展開!! 2年後、二人は日本の高校に通っていました。兄妹として。

ちょっと待てぇい!! お前ら歳幾つだ!! 消息を絶って2年だぞ。その前に玲二単独活動期があって、その前にアインとの協力活動期があって、その前に訓練期間があるんだぞ!
玲二、アメリカひとり旅の時、何歳だったんだ? 中学生か?!
転入の手続きとかどうしたんだ。パスポートは金で買えても住民票は買えないんじゃないか。
OPもそれまでのノワール満開なものから、学園ラブコメチックな明るいものに。
この二人の前に現れたのが、死んだとばかり思っていたキャル。今はインフェルノの元で3代目PHANTOMを襲名する殺しのプロ…ってちょっと待てぇい!!
分かれた時は少女以前の幼女だぞ。たった2年でつるぺたボディの幼女がぽんきゅぽんのダイナマイトボディになる訳ねーだろ!!

こ、これが“超展開”って奴か…。
日本のヤクザ梧桐組(インフェルノ傘下)も加わって、警察介入ゼロの大銃撃戦。
物議を醸した(賛否両論の)エピローグですが、私は「あーあ」でした。暗黒ものでバッドエンドは基本ではありますが、26話一気観してオチがこれか…。
聞けば、オリジナルとなったゲームはハッピーエンドだと言うじやないですか。
ぐったりがっくりばったりぽっくりです。
北米版BD-BOXは全26話+ピクチャードラマ12話を収録した3枚組で約2,000円(1話当たり77円!)。