ただのワニ(と言っても10m級のクロコダイルですが)をU.M.A.(未確認生命体)と言い張る東宝東和の(いつもの)大風呂敷に公開当時は大いに憤ったものですが、最初からワニだと思って観れば、なかなかに面白い作品じゃないですか。
「U.M.A. レイク・プラシッド」
(1999年/スティーヴ・マイナー監督)
メイン州のプラシッド湖でダイバーが“何か”に下半身喰いちぎられる事件発生。
集まってきたのは古生物学者(不倫破綻のニューヨーカー。我侭)、神話研究家(ワニ大好き。超自己チュー)。
常に文句タレタレの地元保安官を加えたメンバーを束ねる狩猟監視官はさながら幼稚園の引率教師。
狩猟監視官にビル・プルマン、古生物学者にブリジット・フォンダ、そして神話研究家にオリヴァー・プラットと今観ると結構豪華。
脚本は「アリー・myラブ」のデビッド・E・ケリーなので、人間関係描写がほどよく軽い(ストレスが溜まらなくて良い)。
監督はクリスタル・レイクで産湯をつかった人ですから、湖の扱いは手馴れたもの。
原寸大のアニマトロニクス・クロコダイルを製作したのはスタン・ウィンストン。
スタッフも豪華です。
アニマトロニクスとCGを織り交ぜたワニは重厚かつ敏捷。牛のみならず、グリズリーまで一瞬で水中に引きずり込むクイック・アタックには惚れ惚れします。
気になったのは地元保安官(ブレンダン・グリーソン)が持っていた大型銃火器。
作中では“ミサイル”とか言っていましたが、フレア・ランチャーをグレネードっぽく仕上げた映画用のプロップみたいです。
「ジョーズ」のエピゴーネンでありながら、「ジョーズ」のお約束をことごとく破っていく展開はある意味爽快。
飄々と殺人兵器を飼育するおばあちゃん(ベティ・ホワイト)が素敵です。