美しい湖が広がる(それ以外は探しても何もない)風光明媚なド田舎。
『君が来るのが日中だと嬉しいんだけどね』
え、今、夜なのか? 明らかに昼間だが。
『ボートに乗ってみるといい。月夜の湖は最高だよ』
ん? まだ真昼間だが、夜になったら、という話なのか。
『素敵な星空ね』
いや、ピーカンだろ。雲ひとつ無い青空見上げて何言ってんだ。
『これが奴の足跡か…』
懐中電灯で照らさなくても見えるぞ。まだ明るいんだから。
「フレッシュ・ゴードン」「空の大怪獣Q」の特撮を担当したデヴッド・アレンによるモーション・キャプチャーがウリで「幻の名作」とか言われていますが、そこ以外は映画の体裁すら整えていない単なる珍品。
「火山湖の大怪獣」
(1977年/ウィリアム・R・ストロンバーグ監督)
TV放送時のタイトルは「魔の火山湖・甦った巨大生物の恐怖」、最初にソフト化された時が「U.M.A.2002レイク・モンスター」、現在出回っているDVDが「火山湖の大怪獣」。
因みに原題は「THE CRATER LAKE MONSTER」。
クレーター湖に隕石落下。この中に怪獣がいれば「ウルトラ作戦第一号」ですが、この隕石の放熱によって化石化していた恐竜の卵が孵化してしまう、というお話。
化石化した卵って孵化するのか? あとその“水槽の中に鶏の卵沈めてみました”みたいな絵面は何だ。
孵化するシーンは無く、いきなり成長したプレシオザウルスがちまちまと人を襲撃(実に温かみのある可愛い動き)。
折角のモーション・キャプチャーですが出番は僅か。残り時間何をやっているかというと、
湖で貸しボートを営んでいる若ハゲ&ハゲ髭オヤジのドツキ漫才。
間が悪い上にサイレント映画のようなBGM付きで緊張感削ぎまくり(グダグダ)。
逆に緊張が走ったのが、安酒1瓶のためにコンビニ店員と客を躊躇無く撃ち殺した近所のジジイ。怪獣よりもこの爺さんにびっくりです。
クライマックスは怪獣対しょぼーいブルドーザー。
のっそりと近づいたブルドーザーがブレードをがっこんがっこんと2回ほど上下させるアップの後、カメラが引くと…あ、怪獣が死んでる!
瞬間的に眠ってしまったかと思って巻き戻し…がっこんがっこん…死んでる。
弱すぎないか…。単に打ち所が悪かったのか。
強いなあ、ブルドーザー。