『その覚悟のある者だけが、このラインを越えなさい!』
地面に引かれた1本の短い線。野球未経験の女学生が年上男子の野球部に戦いを挑む、そのためには彼ら以上の練習をしなければならない。
その覚悟のある者だけが、越える事を許される線。それは通過儀礼。
「大正野球娘[北米版BD-BOX]」
(2009年7-10月放送/池端隆史監督)
大正14年。引くに引けない事情から野球部を作ることになった東邦星華高等女学院に通う女学生、小笠原晶子(おがさわら あきこ)とその友人、鈴川小梅(すずかわ こうめ)。
野球の試合をするにはメンバーが9人必要、という事すら知らなかった晶子は小梅と共に入部者を募りますが…(主役は巻き込まれた小梅の方)。
展開はスポコンの王道。
仲間が集まり、挫けへこたれ落ち込み、それでも諦めずに目標に突き進む。
「女性に学歴など不要」「主婦として家庭に入るべき」という当時としてはスタンダードな考え方に一矢報いるために…。
宿敵・朝香中学校野球部。練習試合では成す術もなく惨敗。小学生の草野球チームにすら手も足も出ず。無力の自覚が生む覚悟。そして迎えた雪辱の公式試合。
その想いは朝香中学にも届き…。
『よく考えてみろ。ロクにボールも扱えなかった彼女達が、ここまでのプレイができるようになるのにどれだけ努力をしたのか』
ホームラン狙いの大振りを封印された月映 巴(つくばえ ともえ)が、ここ一番で指示に背く所は燃えました。
『姉さん…そんな窮屈なバッティング、姉さんには似合わないわ。やっちゃいなさいよ。打ちたかったんでしょ、ホームラン』
百合な雰囲気もありますが、ご家族揃って楽しめる“NHK朝の連続テレビ小説”と言って良い健全なアニメです。
生徒たちの良き理解者にしてコーチである英語教師、アンナ・カートランドが豪放磊落なアメリカ女性という“生ける欧化の見本”として活躍。
中の人は新井里美さんなのですが、新井節を封印して(健全な)雰囲気づくりに貢献しています(笑)。
北米版BD-BOXは、全12話をBD2枚に収録して約4,000円。