“だが、その全てを記すには、あまりにも時間が足りない。
よって今は金木研という名の少年
彼の心の補完について語ることにする”
もし、このエピソードの冒頭にテロップを入れるとしたら、こんな感じになるのではないでしょうか。
「間違っているのは僕じゃない。間違っているのはこの世界だ!」
広げたい放題広げた風呂敷を僅か20数分で畳む。
誰もが無理だろうと思い、同時にあるいはもしかしたらと期待した最終回ですが、やはり無理だったようです。
何とアオギリの樹アジト突入に関する描写を根こそぎカット(投げっ放し)、全ての時間をカネキの拷問と覚醒に充てるという一点集中作戦。
15年前にも似たような光景を見たような…。激しいデジャヴ。
カネキを切り刻み、再生させ、また切り刻む。ヤモリによる果てしない無限地獄。
「ヤモリは僕の手足を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…」
遠のく意識の中に現れるリゼ。
「久しぶりね、カネキ君。どうしたの? ボロボロじゃない…笑える」
リゼに導かれて過去を巡るカネキ。母との思い出。
“研、損をしたっていいのよ。やさしい人はそれだけで幸せなの”
強欲な叔母に寄生されて働き尽くめの挙句、過労死した母。
「傷つける人より傷つけられる人に。僕にそう教えてくれた」
「優しくて素敵ね。だから、こんな目に遭うの…」
「あなたのお母さん、本当に優しい人だったの?」
大切なものを選ばなければ(大切でないものを捨てなければ)どちらも失ってしまう。
「分かる? これがあなたの選んだ生き方。あなたの選んだ未来よ」
正に「終わる世界」の再現。
何かを守るためには何かを捨てる。自分の居場所を奪う奴は容赦しない。他者を喰らってでも生きる。
「僕は…喰種(グール)だ…」
自覚。覚醒。リゼを喰らい、ヤモリを喰らい、全ての力を解放させるカネキ。
最終回としては駄目駄目ですが、この力強さは圧倒的。せめてあと1回、全13話であったなら…。
2期、待っています。