デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

穴しかないのに捨てられない。 藁の楯

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『銘苅…クズの弾除けになる覚悟はあるか?』

『…はい』

 

ロリペド鬼畜な変態猟奇殺人犯・清丸(藤原竜也)。その首に10億円の懸賞金をかけた被害者の祖父・蜷川(山崎努)。

 

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福岡で確保された清丸の身柄を48時間以内に東京に移送するため、警視庁刑事部、同警備部(SP)、福岡県警から集められた5人の精鋭部隊。

10億円に目が眩んだ一般人、ヤクザ、そして警察関係者を相手にした移送計画の行方は。

 

藁の楯(2013年/三池崇史監督)

 

カンヌでは酷評。国内でも芳しい評価を耳にすることはない本作。

批判のほとんどは多分正解で、穴だらけの(いや穴しかない)脚本、後半のグダグダ演出、魅力に欠ける主役陣(特に松嶋菜々子演じるシングルマザーの腕利きSP・白岩)など突っ込み所は満載(本一冊書けるくらい突っ込めます)。

…ではありますが。

デコイを含む5台の護送車を大量のパトカーが取り囲む大護送船団は壮観。西部警察亡き後、この構図は貴重です。

 

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ここに突入してくるニトロ・タンクローリー。(CGではないと言う意味で)本物のパトカーが景気よくクラッシュしていく様は実に爽快。

 

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タンクローリーの爆発がCGなのは残念でしたが、今の日本でリア爆は無理(西部警察なら間違いなくリア爆したでしょうが、それは80年代の規制だから出来た事)。

 

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空路を絶たれた護送班は新幹線を利用。しかし、JRの撮影許可は下りず。

新幹線が撮れないから諦めるのか。例え台湾高速鉄道を新幹線と言い張ってでも撮るのか。

許可が下りないから撮らない、という言い訳を作り手が錦の御旗の如くかざしてしまう事を潔しとしなかった攻めの姿勢は評価したいと思います。

この人、昔から「あと幾らあれば」とか「あと何日あれば」とか言い訳をする監督を軽蔑していましたからね…。

前半が良かっただけに、後半の失速は本当に残念。

あと、やっぱり三池さんは女優に対する思い入れが全く無いですね。松嶋菜々子のキャラなんかどう見ても愛情ゼロ。性格もブレまくりで馬鹿にしか見えません。終いにゃ“おばさん臭い”の一言で…(あまりに馬鹿なので同情する気になれません)。

 

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逆に新幹線内で襲撃してくる小沢和義、宮本泰風、山口祥行Vシネトリオ”のかっちょいいこと。一瞬で場をさらう迫力の銃撃戦。カット数も多いですし、ここ絶対、気合入れて演出しています。

普通に評価すれば“トンデモ・オブ・ジ・イヤー”確定の珍品ですが、どうにも切り捨てきれない“何か”を内包している気がいたします。



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