先日ご紹介した「The Exorcist:The Complete Anthology」から因縁の2本を。
まずはお蔵版ビギニング。
「Dominion: Prequel ToThe Exorcist」[北米版BD](2005年/ポール・シュレイダー監督)
Discを国コードが日本になっているデッキ(普通の国内デッキ)に挿入すると、最初の注意事項から日本語で立ち上がり。
メニュー画面で日本語を選ぶ必要もありません(勿論、メニュー画面も日本語)。
なあ、出来るんなら他の作品でもやってくれよ。買うぜ、ばんばん。
1944年のオランダ。撤退しつつあるナチス残党との悶着で、住民の皆殺しを避けるために10人の見せしめを名指しするというウルトラ・トラウマを抱えて神父の職を辞したランカスター・メリン(ステラン・スカルスガルド)。
両手に武器を持って悪魔を踏みつける天使の像。絶対、四天王がモデルだろ。
監督の音声解説によれば、40年代の映像表現を目指したそうで、それはそれで落ち着いた、エレガントと言って良い雰囲気を醸し出していますが、やはり地味。
“あの”エクソシストの前日譚としては刺激に欠ける(客が呼べない)という判断を経営陣が下したのも無理からぬ事ではあります。
ヴィットリオ・ストラーロの美しい映像に乗るCG合成がやたら不自然(特にハイエナ、牛、人間の空中浮遊。監督はデジタル関係の予算は潤沢だったと言っていますが使い方間違えてないか?)。
ただ、悪魔がメリンに囁く「あの日に戻ってやり直したくはないか?」はやたら魅力的(実際、幻想の中でメリンは“あの日”をやり直し救済される)。
ここに収録されている音声解説はファイナルミックス直前、つまり、本作が公開出来なくなる(実際は後からちょっとだけ公開するのですが)とは考えていない時のもの。そう思って聞くと感慨深いものがあります。
モロッコ・ロケの最中、道を1本挟んでメル・ギブソンが「パッション」を撮影していたそうです。片やキリスト、片やサタン(こっちの監督は「最後の誘惑」執筆者。でもメル・ギブはこの映画が大嫌い)。何やってんだ君たち(笑)。
余談ですが、監督の解説で“ダッチ・アングル”の語源を初めて知りました。
で、もう1本。ジョン・フランケンハイマー降板、ポール・シュレイダー更迭のバトンを握らされたレニー・ハーリンの公開版ビギニング。こちらは明日。