
「私、美術教師を目指して美大を受験します」
「あら、何だかすっきりしましたか?」
「はい。私よりも私の事を知っている人に背中を押してもらえたので」
重ねること4期。これまで積み上げてきた日常の全てが伏線となって1点へ。
「ひだまりスケッチ×ハニカム」(2012年10月-12月/新房昭之監督)
今シリーズは沙英の“色男”っぷりが半端ありません。
本妻ヒロ、愛人夏目に加えて若きツバメ乃莉までその毒牙(?)に!
まるでハネムーンな修学旅行(1話)、夏目がうっかり告ってしまうクリスマス(11話)も捨てがたいですが、やはり卒業を控え進路に迷うヒロの姿を描いた6話が白眉。
文系か理系かで悩む沙英を元気づけるヒロ。しかし、より深く悩んでいたのはヒロの方でした。

美術教師になって、やまぶき高校に帰ってきたい。しかし、それは…。
「あなたは先生になりたいの? それともここにいたいの? もし、先生になってやまぶき高校に戻って来ても、そこにはもう沙英さんもゆのさんもいないのよ」
一直線に悩みの本質を突く吉野屋先生(おお、立派な先生に見える! 直後に「言い過ぎたかしら(泣)」と反省するところがまた良い)。
“見透かされた”と落ち込むヒロに沙英は…。

これまでは年月日全てをシャッフルしたジグソーパズル構成でしたが、今回はドラマが“卒業”という1点に向かっているので、時系列に進行していきます。
過去3期を通じて各キャラにすっかり思い入れが出来ているので、何気ない台詞や動作に涙腺が反応…。
3年生二人の姿を1年後に自分に重ねるゆの(宮子には独自の人生回路がありそうなのでよく分からない)。

“サザエさん時空”が良い時もありますが、成長の苦悩と喜びを描ける(観ている側も気持ちを重ねる事が出来る)やり方が本作には合っていると思います。