ゾンビまみれの世界を逃れ楽園を目指してはみたものの、着いた所もまた地獄だった…という手垢まみれの外枠。
ここに“文明のバックアップ無しに共同体を維持するには”と言う極めて現実的な内枠をはめ込んだ外角低めのゾンビ映画。
「バイオハザード・アイランド」(2012年/アダム・デヨー監督)
ある日ゾンビがビッグ・バン。救急救命士だったエルヴィスは女性生存者ツィーターと10歳の少年コーディと共に“ゾンビがいない”孤島の楽園を目指しますが…。
ツィーター(マリッサ・メリル)はどう見てもミラ・ジョボヴィッチのバッタもん。
エルヴィス(スコット・ピート)はジェイソン・ステイサムのバッタもん。
安い邦題と相まって香ばしさ満点ですが、これが思いのほかしっかりとした作り。
大して可愛くもないおガキ様が邪魔だなぁと思っていたらお話が本題に入る前に退場。おお、何と潔い。しかし、ここで消すんなら最初から出さなくてもいいじゃないか。完全に意外性を印象付けるためだけの捨て駒だな。
楽園と思われた島でもゾンビは闊歩。しかも果実などの天然食材は汚染されて喰えず。
生存者はカート(ジェームズ・C・バーンズ)をリーダーに小さいコミュニティを作って自活していましたが、食料はどこから?
製・配・販という流通機構とライフラインが壊滅した後に、サバイバルを実践しようとしたら何が必要になるのか、というテーマは新しいと言えば新しい…かも。
ビデオ撮りの自主映画もどきと違い、フィルム撮りには映画としての格調があります…が、演出力が追いついていないのが残念無念(役者はそこそこ)。
色々頑張ってはいると思うのですが、記憶に残るかと言えば「否」。
ゾンビ物のネタは出尽くした感がありますね。かろうじて見せ方と語り口、キャラ立ちの工夫等で真新しく見えるものが何本かあるだけで、大半は既存ネタの順列組み合わせと縮小再生産です。
今度2000年以降ゾンビ映画のベストテンでもやってみようかしら。