『我は仏の道から外れた男、名前は…』
「外道坊」(2011年/辻裕之監督)
人間の前世が見える(その行いによって悪に染まるのか更生の可能性があるのか、が分かる)托鉢僧・外道坊(小沢仁志)。
負の力に呑みこまれてあがく人たちに光明を与え導こうとするが、感情に支配された人間は己を見失い力尽きて流される。そして悲劇。
晴らす無念は外道坊。
武器は仕込みになっている錫杖(しゃくじょう)、大の大人をくびり殺すぶっとい数珠。
そして刃を仕込んだ網代笠。“血摘子・改”とでも言いましょうか。要するに“空飛ぶギロチン”です。
所詮は金の任侠道に嫌気がさして、足を洗おうとした若頭・真柴(山口祥行)。それを許さず陰謀の使い捨ての駒にしようとする組上層部。
真柴が凶弾に倒れた時、外道坊の錫杖が唸る…。
地獄の水戸黄門といった体ですが、要するに現代版必殺。ただし、一番イメージが近いのは「翔べ!必殺うらごろし」。
悲しいほどに低予算な作りですが、味わいはあります。
ホント、小沢さんは頑張っていると思います。
監督の辻さんも既に監督作100超え。案外、邦画を支えているのはこの辺りの人なのかもしれません。