デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

どうせ滅びるなら…。 人類は衰退しました[北米版BD-BOX]

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「お久しぶりですね」
「いつも一緒でしたが?」
「そんな気はしませんでした」
「まだ寂しい?」
「いいえ。頭の中でいつもお茶会が開かれているようなものですから。
 あなた自身は寂しくないの?」
千客万来ですから」

人類は本日も絶賛衰退中!
 
人類は衰退しました[北米版BD-BOX]」20127-9月放送/岸誠二監督)

大いなる文明を築きながら、現在は衰退街道まっしぐらの(かつての)人類。

文明レベルは中世辺り。人口は減り放題。かろうじて絶滅は回避しているものの、残された人間に危機感は無く、いずれ近いうちに滅びるんだろうなぁと漠然と考えつつ、まったりと暮らしています(駄目駄目じゃん!)。

彼らに代わって地球の主=人類となったのが…妖精さん

身長約10cm。生態不明。推定人口100億~200億。


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高い知能と文明を持っているらしいのですが、何をするでもなくだらだらとたゆたうように生きています(君らも駄目駄目じゃん!)。

分かっているのはお菓子と楽しいことが大好きという事だけ。

主人公“わたし”はそんな妖精さん旧人類の架け橋となる調停官。と言っても仕事は上司である祖父の雑用と妖精さんにお菓子を作ることと、妖精さんの“楽しいこと”に巻き込まれて酷い目に遭うこと。

ファンタジックな妖精さんと少女の交流…これは直球癒し系に違いない…と思ったらこれがとんでもない変化球

全編“わたし”の黒い(しかし、全く不快感の無い、むしろ清々しい)ノローグが炸裂する変幻自在な大人の寓話でした。

何の説明も無しに時間軸はグイグイ過去へと遡行し、最終話は“わたし”の学舎時代(9歳~)まで。

「仲良くなりたい人なんかいない」「独りでいい」

疎外された孤独感に苛まれ壊れかけた“わたし”を救ってくれたのは妖精さんでした。


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夢か幻想か、記憶の断絶と共に曖昧になる妖精さんの存在。

初めての友達は腐女子。慕ってきた後輩はヤンデレ。それでも仲間。それでも友達。


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長い時を経て、忘れていた妖精さんとの邂逅。夢じゃなかった。

終末のように見せかけて、ファンタジーのように見せかけて、最期には“わたし”の内面に収斂していく展開が見事。

どうせ滅びるなら、こんな妖精さんたちにとって代わられたいものです。

北米版BDは全12話(『人間さんの、じゃくにくきょうしょく』全6話も)をBD2枚に収録して5,000円弱(国内版BD-BOXは定価27,000円)。

原作ストックはまだ結構あるそうなので2期切望です。

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