ド田舎の故郷。あるのは川とワニ。そして土地を巡る不毛な抗争。
一触即発の緊張状態の中、新種のワニが人間踊り喰いの大暴れ。
…とここまではフツーの激安CGパニック映画でしたが、後半突如アンビリーバボーな展開に。
はて、似たような設定のお話をどこかで…。あ、チュパカブラだ。
「新アリゲーター 新種襲来」(2013年/グリフ・ファースト監督)
テレビ東京『午後のロードショー』の吹き替え版。放送されたものは「Alligator Alley」のタイトルになっていましたが、本来のタイトルは「RAGIN’ CAJUN REDNECK GATORS」。
“怒れるケイジャンの赤首鰐”。素ん晴らしいタイトルです。
ケイジャン(CAJUN)というのは、18世紀半ばのフレンチ・インディアン戦争の際、イギリス国王に対する忠誠表明を拒否したため、英国植民地に強制追放された北米アカディアのフランス系住民。その多くはルイジアナ州に(本作のロケ地もルイジアナ)。
ケイジャン料理はジャンバラヤが有名ですが、ザリガニやカエル、アメリカアリゲーターといった土着の食材もよく食されるそうです(長い間自給自足せざるを得なかったため)。
ウォルター・ヒル監督の「サザン・コンフォート」でブラボー小隊を襲った現地住民もケイジャンです。
で、ワニ。長期に渡って垂れ流されていた薬品で“品種改良”されたワニは、首の部分が赤くなっていることから“レッドネック”と呼ばれます。
レッドネック(REDNECK)は、(元来の意味はさておき)主に南部の田舎に住む肉体労働系貧乏白人を指す言葉。
自虐ネタなのか?(笑)
このワニ、尻尾の先にトゲトゲがついているのですが、こいつをロケット砲のように飛ばしてくる反則技を持っています(正に“飛び道具”)。
そしてこのワニを喰ったり、ワニに噛まれたりすると…(ありえねー!)。
作品としてどうかと言えば、特に誉める所はないのですが(ないのかよ!)、ケイジャン×レッドネック×ありえねー!な感じは悪くありませんでした。
結局、一番讃えるべきは、テレビ東京の番組編成担当という事か…。