寂びれたい放題寂びれた港町。田舎のドン詰まりの終着駅。
そんな所にもヤクザはいる。汚れた刑事もいる。
腐りたい放題腐った町に現れた謎の男。
「超極道」(2001年/瀬々敬久監督)
もう少し何とかならなかったのでしょうか、このタイトル。惹句も酷い。
“侠を極め鬼と化す”
完全に持て余していると言うか攻め倦んでいますね。タイトルとキャッチを合わせてもビタ一文内容が伝わって参りません。
町を仕切るヤクザ、富樫組。取り締まるべき刑事も金で買われて関係ズブズブ。
富樫組傘下の竜王会にキレ者が一人いましたが、妹人質に鉄砲玉やらせて今は塀の中。
このキレ者、ミナミ(松重豊)の出所を数日後に控えたある日、町に忽然と現れた一人の男(哀川翔)。
彼は地元の汚職刑事・村田(寺島進)の身辺調査のために東京からやってきて、妻と共に行方不明になった刑事・滝島によく似ていた…。
どこでロケをしたのか分かりませんが、町の寂びれっぷりが半端ありません。曇天。荒涼。港と飲み屋と石切り場。漁師とホステスと外国人労働者。静寂と停滞。
あの世とこの世の端境にある半死半生の町。
アクション映画ではなく、ヤクザ抗争のドラマでもない“沈黙の復讐劇”。
富樫組組長(下元史郎)に静かな殺意を燃やすミナミ。竜王会に身を寄せながら、富樫組をひとりずつ的にかけ、本丸、村田に迫る滝島(によく似た謎の男)。
やはり瀬々版「荒野のストレンジャー」と言ってしまうのが一番分かりやすいかもしれません。
★瀬々監督と言えば…