デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

PDAの新作発表会? 人類資金  そして追悼:阿修羅原

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『驚いたな、英語が喋れるのか』

『留学していたからね』『ほう、どこへだ?』

EKIMAE…』

なあ、自分が置かれている状況を少しは理解した上でボケかませ佐藤浩一。少なくともヴィンセント・ギャロは突っ込んではくれないぞ。

「人類資金」2013年/阪本順治監督)

ハードルは低かった…もう「モンティパイソン」の上流階級馬鹿決定戦の障害物競走に出てきたマッチ箱並みに低かった…それなのに。

香取×仲代×阪本は、“やらかしちゃった”なんて表現では到底追いつかない「座頭市THE LAST」のスチャラカトリオ。

周りを囲むのが、岸辺、観月といったテレビサイズのお手軽役者。


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で原作・脚本が「ローレライ」「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」の福井晴敏

どこを探しても期待する要素なぞビタ一文…ちょっとでも面白ければ「おお、意外といい出来じゃん!」になるくらい低いハードルだったのに…。

お話のテーマはM資金。徳川の埋蔵金と肩を並べる都市伝説。

しかし、冒頭で終戦直前、軍が金塊を接収しているシーンがあるので、“M資金実在”がデフォに。つまり、後の展開として「M資金は実在するのか」というワクワク感を最初から放棄した演出になっています。

時は流れて現在。M資金をネタに荒稼ぎをしている詐欺師・真舟佐藤浩)。


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彼に“M資金を管理している財団”から派遣されたという謎の男(森山未來)が接触

真舟が告げられた財団所在地に行くと、観月ありさ率いる謎のクンフー軍団が襲撃。偶然居合わせた森山に導かれ、地下通路から脱出。

「なんなんだ、あいつらは?」「市ヶ谷です!」

市ヶ谷=防衛省情報局(福井晴敏の小説に登場する架空の非公開諜報機関)です。

秘密のアジト(普通の雑居ビルの1室)に連れてこられた真舟の前に、黒幕M香取慎吾)が登場。精一杯クールに演じていますが、それはボロが出ないように香取っぽさを捨てているだけで、演技でも役作りでもありません。

香取くんの依頼はM資金10兆円の騙し取り」。この時点で疑問山積。

一介の詐欺師(ゴロツキと言ってもいい)である真舟にこんな話を持ちかける理由はなんだ。一応、香取配下の岸辺一徳の口からそれらしい理由は語られますが、理解不能

森山が真舟に引き合わせたかったのは香取なんだろ。だったらとっととここに連れてくればいいじゃん。何故、敵である財団の所在地に足を運ばせたのよ。しかも、その建物、事実上の廃墟だったじゃん。

あと、10兆円って世界を変える金額にしちゃ安すぎね? 今年の日本の国家予算
96兆円だよ。せめてこれくらいはないと。

で、香取くんが10兆円でしたかった事ってのがまた「う~ん」

クライマックスの国連演説シーンは見応え十分ですが、どう見てもPDAの新作発表会にしか…(そもそも森山未來が一国の代表として指名された理由が分からない)。


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観月の華の無さは何か見てはいけないものを見た感じでしたし、ギャロも何しに出てきたんだか。

風呂敷は無駄に大きいですが、中身は中二病の妄想

阪本監督、「王手」の頃は才気満々だったのに、いつからこんな紙芝居監督になってしまったんでしょう。

★併せてこちらも
 

 



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追悼:阿修羅原
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プロレスラー、阿修羅原がお亡くなりになりました。428日。68歳。
 
ラグビー日本代表から国際プロレス。国プロ崩壊後は全日本へ。
 
ハンセンのラリアットを受けまくり、ヒットマンラリアットを開発。
 
天龍同盟で一時代を築くも、だらしないにも程がある金銭感覚で解雇
 
その後、SWSWARと舞台を移し、9410月、引退。
 
引退後、何をしていたのかと思いましたが、故郷長崎でスポーツ教員のような事をしていたようです。
 
全日本のジャパン・プロレス提携時代、長州に“ラリアット合戦”を挑み、見事に轟沈した試合が印象に残っています。
 
原とか剛竜馬とか何か“ツイてない”星の下に生まれちゃった選手って愛着があります。
 
ご冥福をお祈りいたします。
 
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