
『驚いたな、英語が喋れるのか』
『留学していたからね』『ほう、どこへだ?』
『EKIMAE…』
なあ、自分が置かれている状況を少しは理解した上でボケかませ佐藤浩一。少なくともヴィンセント・ギャロは突っ込んではくれないぞ。
「人類資金」(2013年/阪本順治監督)
ハードルは低かった…もう「モンティパイソン」の上流階級馬鹿決定戦の障害物競走に出てきたマッチ箱並みに低かった…それなのに。
香取×仲代×阪本は、“やらかしちゃった”なんて表現では到底追いつかない「座頭市THE LAST」のスチャラカトリオ。
周りを囲むのが、岸辺、観月といったテレビサイズのお手軽役者。


彼に“M資金を管理している財団”から派遣されたという謎の男(森山未來)が接触。
真舟が告げられた財団所在地に行くと、観月ありさ率いる謎のクンフー軍団が襲撃。偶然居合わせた森山に導かれ、地下通路から脱出。
「なんなんだ、あいつらは?」「市ヶ谷です!」
市ヶ谷=防衛省情報局(福井晴敏の小説に登場する架空の非公開諜報機関)です。
秘密のアジト(普通の雑居ビルの1室)に連れてこられた真舟の前に、黒幕M(香取慎吾)が登場。精一杯クールに演じていますが、それはボロが出ないように香取っぽさを捨てているだけで、演技でも役作りでもありません。
香取くんの依頼は「M資金10兆円の騙し取り」。この時点で疑問山積。
一介の詐欺師(ゴロツキと言ってもいい)である真舟にこんな話を持ちかける理由はなんだ。一応、香取配下の岸辺一徳の口からそれらしい理由は語られますが、理解不能。
森山が真舟に引き合わせたかったのは香取なんだろ。だったらとっととここに連れてくればいいじゃん。何故、敵である財団の所在地に足を運ばせたのよ。しかも、その建物、事実上の廃墟だったじゃん。
あと、10兆円って世界を変える金額にしちゃ安すぎね? 今年の日本の国家予算96兆円だよ。せめてこれくらいはないと。
で、香取くんが10兆円でしたかった事ってのがまた「う~ん」。
クライマックスの国連演説シーンは見応え十分ですが、どう見てもPDAの新作発表会にしか…(そもそも森山未來が一国の代表として指名された理由が分からない)。

観月の華の無さは何か見てはいけないものを見た感じでしたし、ギャロも何しに出てきたんだか。
風呂敷は無駄に大きいですが、中身は中二病の妄想。
阪本監督、「王手」の頃は才気満々だったのに、いつからこんな紙芝居監督になってしまったんでしょう。
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