「そんなこと絶対にできないのは知っている。そんなものに手が届かないのも分かっている。それでも…それでも俺は…俺は…
俺は本物が欲しい!」
青いの暗いの重いの面倒くさいの言われておりますが(全部その通りだとも思いますが)、いいじゃないですか。
色々拗らせちゃった人たちがそこから一歩を踏み出すには臭いくらいの通過儀礼が必要なんですよ。
本人も「俺は意識高い系じゃない。自意識高い系だ」と言っておりますし。
理に頼っていた人間が初めて情に訴える…ターニングポイントとして良回だったと思います。
そこに颯爽と現れた奉仕部顧問・平塚静…って先生、その車アストン・マーチンじゃないですか(ボンド・ガールかよ)。
「(イベントの件も雪ノ下の件も)問題の根っこはひとつなんだよ。心だ」
「けど、それって考えて分かるもんじゃないじゃないですか」
「分からないか? ならもっと考えろ。計算しかできないのなら計算しつくせ。
全部の答えを出して消去法でひとつずつ潰せ。
残ったものが君の答えだ。
計算できずに残った答え、それが人の気持ちというものだよ」
平塚先生、かっこいい。逆に比企谷の遠回しなラブコールに動揺して頬赤らめる所なんか滅茶キュート。
「この時間が全てじゃない。でも今しかできないこと、ここにしかないものもある。
今だよ、比企谷。今なんだ。
考えてもがき苦しみ、あがいて悩め。そうでなくては本物じゃない」
“雪ノ下と由比ヶ浜、二人を(生徒)会長にしたくなかったのは何故か。(妹の小町に)動く理由をもらってまで俺が動いた本当の理由・・・欲しいものがあったから”
自問自答し続ける比企谷。彼が出した結論は…。
「ゆきのん分かんないって言ってた!どうしていいかも分かんないんだと思う!
私だって全然分かんない。でも分かんないで終わらせたらダメなんだよ!
今しかない!あんなゆきのん初めて見たから。だから今、行かなきゃ!」
ドア前で話を聞いてしまったいろはが頬紅潮させているのがいいですね(ちゃんと立場をわきまえたええ娘じゃ)。
分かりあえる訳がない(でも分かっては欲しい)という傲慢。分かりあえない事は分かっているけど分かりたいという願望。
互いに唾棄すべきものとしてきたはずの偽りの人間関係を今崩す。
今回のエピを観た後にOP/EDを聴き直すと歌詞がすんなり入ってきます。
“♪ 道を変えるなら 今なんだ
こんなレプリカはいらない。本物と呼べるものだけでいい”
“♪ 平静さを装うためだけ 振る舞い方の計算式解いてばかり
これが恋だとしたら 孤独という強さ失くしそうで”
OPは比企谷の、EDは雪ノ下の心情を歌っていたんですね。