
「エイプは人間より優れていると思っていた。でも違った。エイプも人間と同じだ」
その瞳に宿るのは諦観と失望と静かな怒りと悲しみ。
お話がここに帰結するのはいい。でもそのためには、少なくとも人間との戦争が(不可避的に)幕を開け、心ならずも相手を傷つけ、殺し、自らも多数の仲間を失う過程を踏んでからにすべきでしょう。
人類は猿ウィルスの蔓延により大半が死滅(一応、昨日のデストピア繋がり)。
「冬が10回来たが、最後の2回は人間を見ていない。きっと絶滅したんだろ」
物質的な充足がかろうじて集団を支えている人間のコロニー。しかし、その燃料もあと僅か。電気がなくなれば拡声器を使う事もできない。闇が疑心暗鬼を煽ってあっという間に秩序が瓦解するのは目に見えている。
頼みの綱は森の奥にある水力発電所。あそこが再稼働できれば…。

ウィルスを作ったのは人間なのに、猿を逆恨みして嫌悪するタカ派の人間。
人間から憎しみしか貰わなかったため、人間を信じず、先手必勝を謳うシーザーの腹心コバ。
最初の銃声を鳴らしたのは、猿。

些細な切っ掛け。双方にある信ずべき義。恐怖と怒りの連鎖。
戦争を始めるのって本当に簡単。悪人なんかいなくても、そんな事を望まなくても殺し合いは始まっていく。
コバの復讐と野心、シーザーの信念と家族愛。人間とサルの信頼と猜疑心。

素材は分かりやすいですし、十分楽しめはしましたが、何か盛り上がるものがあったかと言えば「う~む」。
次の一手(あるのか?)に期待します。