公称8,000万匹。凶暴化したゴカイ(ミミズではない)の群れが田舎町を飲み込んで白骨祭り。
「ジョーズ」直後、量産された動物パニックものの中で「吸血の群れ」「悪魔の沼」と共にブームの底辺を支えた(が、誰も後に続かなかった)傑作。
酒飲むかダベるか旅行者に骨董品売りつけるかくらいしかやることのない田舎町を襲った大型台風(多分資料映像使い回し)。
断ち切られた送電線は地中に物凄いボルトの電流放流。
これが何故か地中のゴカイにのみ作用。蠢き出したうねうねは群れを成して人間を襲い始めますが、これが偶然にもヒット&アウェイ戦法となってなかなか事件発覚せず。
田舎の排他性描写とヒロイン巡る三角関係もどきが延々繰り返され、話は遅々として進みません(この焦燥感とか閉塞感を楽しむのもこの頃の映画の特徴)。

溜めに溜めてラスト15分。出るわ出るわ。ダムが決壊したかの勢いでゴカイの濁流。
暫くパスタは御免こうむりたいにゅるにゅるの大波小波。
本来であれば、この後に“対処”“撃退”もしくは“殲滅”というモードがあるのでしょうが、ゴカイの洪水を見せることが唯一無二の目的なので、そんな描写はありません。
完全に出オチ。「鳥」だってそうだろ?と言われればまあそうですが、『見せたいものは見せ切ったからとっとと終わる』という潔さに痺れます。
本作の見どころ一番は、哀れな田舎者ロジャーを演じたR・A・ダウ。
ゴカイの養殖屋の息子ですが、親からは怒鳴られボコられ、ヒロインからは相手にされず、顔中をゴカイに喰いつかれた姿になってヒロインを追い回した挙句、ゴカイの海に没し…たと思ったら全身ゴカイ男となって這い上ったものの、最後は都会からきたうらなりの坊やに撲殺されてしまうという「お前、一体何のために生まれて来たんだ!?」な一生。

人が好さげだが卑屈、という見てくれのままの好演。本作以外では後にも先にもお目にかかった事がありませんが、物凄く良い役者さんだと思います。
本作には脳裏に焼きつくショッキングなシーンがたくさんあるのですが、生理的に駄目な人は徹底的に駄目だと思うので、ゴカイくんの乱舞写真は自粛することにしました。気になる人は画像検索してくださいませ。