「おじさんは悪い人なの?」
「…そうだ」
「どうして?」
「私は君たちと考え方が違う。考え方の違う者は“悪”と呼ばれるんだ」
「子供の頃から悪かったの?」
「昔から大人だったんだ」
ロジャー・コーマンが「スターウォーズ」の大ヒットを見て製作したスペースオペラ版「荒野の七人」。
「宇宙の7人」
(1980年/ジミー・T・ムラカミ監督)
平和主義の惑星アキール(AKIR←黒澤明からのネーミングらしい)にいきなりやってきて「ここを植民地にするから奴隷になれ。先に済まさにゃならん仕事があるから、征服は7日後だ。じゃあな」と一方的に宣言して去っていったセイドア(ジョン・サクソン)。
アキールに武器らしい武器はない。よし、こうなったら助っ人を(以下略)。
という訳で助っ人探しに旅立った若者シャド(リチャード・トーマス)。
船はかつて長老ゼッドが乗っていたもの。メインコンピュータのネルに若造だの逃げ足チャンピオンだのと罵倒されつつも天文学的偶然とご都合主義で次々助っ人ゲット。
操繰士カウボーイ(ジョージ・ペパード)、トカゲ頭の傭兵ケイマン、3つ目のクローン人ネストール、おたずね者ゲルト(ロバート・ヴォーン)、美しい女戦士セント・エクスミン(シビル・ダニング)などなど。
制作費の大半はペパードとヴォーンのギャラで消えたらしい。
5人1組とか2人1組のキャラもいるので全部数えると余裕で7人超えますが、そこはまあ「宇宙の7種族」って事で。
宇宙船とかの造型は結構良い。
元の話が面白いので、黙っていてもそこそこの出来になるはず…なのですが、これが思いのほか盛り上がりません(ひとえに演出が駄目駄目)。
自爆寸前、メモリーが吹っ飛んで記憶を失くしたネルが、シャドをゼッドと勘違いしたまま別れを告げるシーンとか、盛り上げどころのはずなのに妙に淡白。
助っ人たちも「え?」って言うくらいあっさり死んじゃうし。溜めろよ、もっと。
このジミー・T・ムラカミという監督さん、本作が初監督ですが、この後の作品が「スノーマン」に「風が吹くとき」に「クリスマス・キャロル」(いずれもアニメ)。
ヒューマン専門じゃん! そりゃこんなスットコ活劇なんか最初から興味ないだろ。
痛恨の人選ミス。もしジョー・ダンテあたりが撮っていたら、カルト作として名を馳せていたかもしれません。
因みにアシスタント・プロダクション・マネージャーとしてゲイル・アン・ハードがクレジットされています。
ゲイルはここでキャメロンと知り合って結婚、タッグを組んで4年後に「ターミネーター」を産み落とします。
ジェームズ・ホーナーもここでキャメロンと知り合って「エイリアン2」で再び。
という人生玉突き交差点だと思えば、価値ある1作と言えるかも。