デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

信ずる者の言を信ず。 潜水艦イ-57降伏せず

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『総員、第二種軍装に着替え!』

第二種軍装…本来は夏場の作業服ですが、白一色を纏ったその姿はさながら死に装束。凛々しい。

彼らを前にして艦長・河木少佐(池辺良)は宣言する。

 

「日本潜水艦、イの57は降伏せず。戦闘を開始する」

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戦闘開始、それは玉砕と同義。異を唱える者は無し。むしろその一言を待っていた。

 

「潜水艦イ-57降伏せず」

1959年/松林宗恵監督)

 

昭和20年。潜水艦イ-57に下された極秘任務。それは、和平交渉に長けた某国外交官父娘をカナリー諸島まで護送する事。

本土決戦の覚悟を決めている現場にとって“和平”などありえない選択。回天で一足先に靖国に行った同胞の後を追うつもりでいた者たちは皆、怒りと絶望の表情を。

 

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しかし、大事なのは誰の命に従うか、という事。

「本艦が和平の御先棒を担ぐことに賛成の者、一歩前へ」

誰一人動かず。

「では、もうひとつ。艦長の命令に従って命を捨てても惜しくない者、一歩前へ」

 

全員迷わず一歩前へ。

後に「ローレライ」がトレスしようとして物真似にもならなかったプロットや、モノクロ作品にも関わらずカラーフィルムを使ってブルーバック合成をした円谷英二入魂の特撮も素晴らしいですが、こういう海軍魂みたいなものに心を掴まれます。

 

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カナリー諸島到着直前にポツダム宣言。もはや和平交渉の余地無し。任を解かれ、補給を絶たれ、辺り一面敵艦隊。それでも膝を屈するなど言語道断。

弔いに、徒花、死に花、咲かせましょう。

日本潜水艦、イの57は降伏せず。


 
★ご参考 

 

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