デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

治外法権…なのか? 恋と選挙とチョコレート[北米版BD-BOX]

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冒頭。何かの裏取引現場の写真撮影に成功した女子高生。帰り際、その後部に車影。一瞬で距離を詰めた車はそのまま女子高生に追突

だまりに倒れる女子高生。抜き取られたSDカードはその場で噛み砕かれてデータ消去。

ん? ちょっと待て。俺は今、何を見ている? 学園ラブコメじゃないのか。これじゃ陸軍中野学校『悪い奴ほどよく眠る』だぞ。

ううむ…。

恋と選挙とチョコレート[北米版BD-BOX]」

20127-9月放送/喜多幡徹監督)


生徒数6,000を超える巨大学園・私立高藤学園にはサークルが乱立。

中でも食品研究部(ショッケン)は、菓子喰って茶飲んでダベっているだけの自堕落クラブ。顧問はビールサーバ持ち込んで昼間からジョッキでグイグイ。

 

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折り悪く、次期生徒会会長選挙最有力候補の東雲皐月(しののめ さつき)が、“無実績サークルの整理&廃部”を公約に掲げたからさあ大変。

こ、このままでは、俺たちの憩いの場が…。

こうなったら、ショッケンから対立候補を出して、自ら生徒会長となるしかない!

という訳で、不純極まりない動機で立候補した大島裕樹(おおじま ゆうき)と愉快な仲間たちの七転八倒…というラブコメなのですが、冒頭の黒いシーンのおかげでどうにも気軽に観られません。

轢かれた女子高生は生きていて病院のベッドに横たわっているのですが、両目開いています。意識不明なんじゃなくて、半植物人間化…駄目押しです。

実はこのメガ学園を運営している自治委員会は、治安部、総務部、財務部の行政3部に分かれており、熾烈な権力争いをしております。その頂点に立つのが生徒会長。

各部間の癒着、造反。飛び交う実弾。学内の平和を保つためにスケープゴートにされる経済特待生(けいとく。要するに貧乏人)。

こんな環境で実施される生徒会長選挙が真っ当な訳はなく、大島くんは権謀術策の波に飲み込まれていきます。

 

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恋は? 恋はどこに?

 

メインヒロイン、住吉千里(すみよし ちさと)は大島の幼馴染ですが、幼少期に弟を意地悪した直後に事故で失っている事が尾を引いてちょいと精神を病んでおります

大島に弟を投影させて依存することで精神を保っているのですが…。

 

ら、ラブコメは? ラブコメはどこ?

 

全体的に明るい調子ではあるのですが、何せ自治委員会(特に治安部部長・大沢ゆいな)のやっている事が完全に犯罪(盗聴、盗撮、情報操作、拉致監禁、暴行、脅迫、贈賄収賄、殺人未遂etc.)。

 

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日本って法治国家だったよね。それともこの学園は治外法権なのか。治安部には逮捕権まであるようでしたが…。

一応、八方丸く収まって大団円…なのですが、どうにも釈然としないというか、とっとと警察に通報しろよ! とか色んな突っ込みが次から次に。

もう少し権力構造をカリカチュアするか、いっそのこと学園が自治の全てを任されている近未来設定とかにしてしまえば、違う楽しみ方が出来たかもしれません。残念。

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