『これも我が藩の存亡に関わる事。皆、精一杯…走るぞー!』
どんなふざけた時代劇なんだろうと、ほとんどネタ扱いで観たのですが、このハードルの低さが幸いしたのか、エライこと楽しんでしまいました。
なんですとぉ?! 今帰ったばかりじゃないか! しかも、8日かかる行程を5日で来いだと?! 今回の参勤で路銀使い果たして金なんかどこにもないぞ!
首謀者は幕府老中・松平信祝(のぶとき)。湯長谷藩の金山に目をつけ、無理難題をふっかけてお取り潰しを画策。
どう考えてもミッション・インポッシブル。しかし、行かねばお取り潰し。人もいなけりゃ金も無い。あるのは知恵と意地と体力のみ。
老中としてはお取り潰しが目的なので、来られちゃ困る。“死して屍拾う者無し”な連中を私利私欲のために動かして妨害工作。
襲いくる危機的状況を(どちらかと言うとトンチに近い)知恵と体力で次々乗り切っていく湯長谷藩一行。
藩主・内藤政醇を演じる佐々木蔵ノ介がいい。飄々としていながら、ここぞという所で魅せる居合がやたらとかっちょいい。
アクシデントに見舞われる度に「知恵を出せ!」と迫られる家老・相馬兼嗣役の西村雅彦も味わい深い(そこまでやるか!なオーバーアクトですが、ここまでしないとこの人の面白さは引き出せない)。
小ネタの仕込みと伏線の回収がお上手。
旅程をショートカットするための山中案内を買って出たが、途中で謝礼全額を貰ってしまったのでトンヅラこいて豪遊していた雲隠段蔵(伊原剛志)が、その謝礼(10両分かき集めた土のついた小銭)を見て戻ってくる所とかかなりツボでした。
メンバー各自が武芸に秀でた一騎当千の強者という設定も「口だけか」と思わせて…。
隣の藩が飢饉の時に真っ先に贈った米俵。家老は「何故うちがそんな事を」と諌めますが、その事が巡り巡って…(正に情けは人のためならず)。
こういうベタな展開って結構好きです。
こまかい不手際も一杯あります(例えば、隠密に追われて崖から川に落ちて流される場面。あの落差と水深なら100%全員死んでます。手とか首とかあさっての方向いてます)が、いいじゃないですか、そんなことは(笑)。
コメディと言ってしまうと何か違うような。アクション付き爽やか系人情時代劇って感じでしょうか。