
『駄目なヒロインなんていない。駄目なゲームがあるだけだ』
「パトレイバー2」の影響って計り知れないですね。
「神のみぞ知るセカイ[第1期・北米版BD-BOX]」
(2010年10-12月放送/高柳滋仁監督)
本来のストーリーは、人の心の隙間に巣食う“駆け魂”(憑りついた女性の子供として転生し、肉体を取り戻そうとする古悪魔)を回収する冥界法治省極東支局の新悪魔エルシィと、その協力者に指名された“落とし神”の異名を持つギャルゲーの達人・桂木桂馬の活躍…なのですが。
要するに、桂馬が女性を“落として”心の隙間を埋め、居所がなくなって出てきた駆け魂をエルシィが捕縛する、というお話です。
今までの作品なら、落とされた女性が次々桂馬に群がってハーレムアニメになるところですが、本作は落とされた時点で桂馬との記憶を失くしてしまうので、エピが連鎖していくことはありません(ハーレム好きとしてはちと不満)。
で、1期12話中唯一リアルの女性ではなく、ゲームのヒロインを攻略する話が、
「第4話/今そこにある聖戦」(斉藤啓也演出)
3回に2回は起動せず、セーブもできず(しようとすると本体が壊れる)、極めつけがバグによる無限ループ。決してエンディングに辿りつけない鬼ゲーム。

「ゲームは1日100時間」をモットーとする桂馬は授業の全てを犠牲にしてこのゲームに没頭(しかも、教師に指名されるときっちり正解を答える天才肌)。
たとえ相手がバグであっても、必ずこのヒロインをエンディングに導いて見せる。落とし神の名に懸けて!
リアルな女性をギャルゲー理論を駆使して攻略する話より、ストレートにゲーム攻略をしている話の方が面白いというのは皮肉です(桂馬曰く「リアルはクソゲー」)。
全ての分岐をメモして(エルシィにメモさせて)ループ回避の可能性を模索する桂馬。

台詞が乱れ、仮キャラが現れ、抜けた!と思ったら文字化けという「どこまでクソゲーだー!」な展開。同情を禁じ得ません。

果たしてヒロイン“そら”を無限ループの牢獄から解き放つことはできるのか。
「いつもは“リアルはクソゲーだ”って無視するのに、どうして実際の駄目なゲームにここまでこだわるんですか?」
というエルシィの疑問に対する答えが冒頭の台詞。
元ネタがあるとは言え、なかなかに男らしい(?)発言ではないですか。
『神のみぞ知るセカイ北米版BD-BOX(World GodOnly Knows Complete Collection)』はBD2枚組で5,000円前後。国コード無し。字幕off可。