『ごくろう』『ごくろう“さま”だろ』
ランニングタイム150分! 正式ボディカウント180! 毎分1人以上があの世行き!
「ザ・レイド GOKUDO」
(2013年/ギャレス・エヴァンス監督)
前作は空間限定の死亡遊戯で、ストーリーなぞあって無きが如しでしたが、今作は善くも悪しくも筋立てに従ってお話が転がっていきます。
大殺戮戦を生き延びた新人刑事ラマ(イコ・ウワイス)は、警察内の汚職を摘発する秘密部隊と接触。自身と家族の安全保障と引き換えに潜入捜査を引き受けます。
前半は「フェイス・オフ」ばりの刑務所潜入(身分を隠して入獄し、マフィアのボスの息子に接近する)、後半は地元マフィアと日本のヤクザの抗争を煽って漁夫の利を狙う新興勢力の権力闘争に巻き込まれて行く…という流れになります。
この合間合間に肉弾戦がフルコース(但し、全品メインディシュ)。
1品目は刑務所のトイレ(個室)という激狭空間で1対大群の乱闘戦。
2品目は中庭の泥濘で繰り広げられる集団バトル。
敵の数が半端無いので、(復活してこないように)確実に仕留めねばなりません。手でも足でも一撃で折る。壁に突起物があれば躊躇無く頭部を叩きつける。武器になるものがあれば迷わず使う。瓶で殴ったら捨てずに割れた部分で刺す。
実戦的な、あまりに実戦的な…。
刑務所の中がステゴロになるのは分かります。問題は塀の外。
格闘戦と銃撃戦の線引きがウルトラ曖昧。
格闘戦の時はお互い素手(暗器含む)。銃撃戦の時はお互い銃器所持。ご都合主義の極みです。
さんざっぱら拳銃ぶっ放した後で、倒れているラマを「始末しろ」。当然、その場で射殺するか頸の骨でも折るのかと思いきや、車でどこかに運んで殺そうとする。何で? この場で殺しても死体がひとつ増えるだけで何の不都合も無いじゃん。
理由は簡単。そうしないと次のカーチェイスのシーンに繋げられないから。
『GOKUDO』という副邦題(原題はTHE RAID 2: BERANDAL)が示す通り日本のヤクザも登場します…が、扱いが超中途半端。
折角、遠藤憲一、松田龍平、北村一輝という目つき悪いトリオが出ているのに出番はカメオ並み。
格闘はできなくても、にこやかに(あるいは無表情に)人とは思えない事を平然とやってヤクザの怖さをアピールして欲しかった…(宝の持ち腐れだ)。
大作っぽく広げた風呂敷も紋切り型と言うか記号的で深みはありません。
格闘シーン単体はどれをとっても素晴らしいので、もうちっと繋ぎと流れを綺麗にまとめて100分程度に納めてくれれば大傑作になったかもしれません。