田舎のスタジアムがゾンビまみれで大騒ぎ。
「ゴール・オブ・ザ・デッド」
(2014年/バンジャマン・ロシェ&ティエリー・ボワロー監督)
何故、監督が二人いるのかと言うと、前半(死霊のキックオフ大乱闘編)と後半(地獄の感染ドリブル編)を別々に撮っているから。
後半になると改めてタイトルとクレジットが流れて、2本立てな趣き…ではあるのですが、2本立てにした意味がまるで解りません。
監督が代わってタッチも変わるとか、前半と後半で視点が変わるとか、前半で張り倒した伏線を後半で回収するとか、一切ありません。
お話は直線で地続き、作風ほぼ一緒。いやもういっそ清々しいくらいに変化無し。
フランス北部の田舎町カペロング。かつて地元のチーム「E.J.A.C.」を牽引しながらも、土壇場でメジャーの「オランピック・ドゥ・パリ」に鞍替えした(ついでに地元の女喰いまくった)ため、17年経った今でも地元では怨嗟の対象となっているプレーヤー、サム・ロリ。
引退を間近に控えて、地元への凱旋を果たしますが、待っていたのはブーイングの嵐。
選手も審判もサムを潰す気満々。中でもジャノ(とその親父)は、サムのせいで自分がメジャーに行けなかったと怨み骨髄。
親父が通販で入手した怪しげな薬でドーピング…したら力が漲って、瞳孔開いて、妙な涎がだばだばと溢れ出して、絶叫しながら猛ダッシュ!
『うおおぉ! サム! ぶっ殺してやるぞおぉお!』
途中、電話の回線修理人その他を血祭にあげながら、一路、スタジアムへ。
死んで蘇っているわけではないので、ゾンビじゃないんですよね。どちらかと言えば『28日後』とかの方が近い。
感染経路は飛沫。米の研ぎ汁みたいなゲロをマーライオンのように噴出し、顔射された人間は即感染。
あっという間にスタジアムは阿鼻叫喚の地獄絵図。
そのままスタジアムの外に飛び出した選手&観客は全員フーリガンとなって街を蹂躙。
かろうじて難を逃れたサムとサムの父、サムの娘だと主張する少女、フーリガン二人に売れないTVレポーターらは、街からの脱出を試みますが…。
シリアス一辺倒ではないですが、コメディという程笑えるわけでもありません(たまにクスっとする程度)。
妙な期待をせず、140分という長丁場を気にしなければ、それなりに楽しめる仕上がりにはなっています。