「死にかた」という筒井康隆の短編小説があります。
ある日、会社に鬼が現れ、社員を次々に棍棒で屠っていく、という不条理もの。
ある者は鬼を説得しようとし、ある者は色仕掛けで籠絡しようとしますが、結局はぐしゃりぐしゃりと頭を潰されていきす。
最後に残った主人公が初めて“命乞い”をし、鬼も感心したようなそぶりを見せますが、「でも、やっぱり殺すのだ」と棍棒を振り下ろして幕。
全滅エンド(笑)です。本編を観て、ふとこの小説を思い出しました。
とある高校の授業中。突然教師の頭が弾け飛んで、そこからダルマが登場。パニクる生徒を尻目に「だ~る~ま~さんが~転~んだ!」
動いた人間は頭ボーン! チュートリアル無しで即死ゲーム開幕。
血の代わりに流れ出るのは赤いビー玉。
事前にダルマのビジュアルしか観ていなかったので、てっきりこのシーンがクライマックスなのかと思ったら前座でした。
生き残った者には次々と新しい試練が…。
不条理劇なので、誰が、何のために、とかは言わない約束。『CUBE』だってそんなネタバラシ的な事は(少なくとも1作目では)言っていませんし、中途半端に理の通ったオチなんか聞いたらかえって興醒めでしょ。
ただ、引きこもりの人(大森南朋)は何しに出てきたんだろうなぁとは思いましたが(続編の前振りなんか?)。
三池ビッグバジェットにアタリ無しと何度も言ってきましたが、本作は比較的真っ当な方ではないでしょうか(好き嫌いははっきり分かれるでしょうが、それは“つまらない”とは別概念)。
こういう人の神経逆撫でするお話撮らせると本当に三池さんは巧いなあ…。