火星でゾンビと鬼ごっこ。プロットだけ見ると実に偏差値貧乏でいい感じなのですが、作り手が草食系なのか優等生なのか、とにかく男汁が足りません。
もっと心にマクレディを!
「ラスト・デイズ・オブ・マーズ」
(2013年/ルアリー・ロビンソン監督)
6ヶ月に及ぶ有人火星探査は、さしたる研究成果もないまま最終日を。任務終了まであと19時間。
実はひとりだけ、“火星にバクテリアが存在した事を示す化石の発見”というスクープをモノにしたクルーがいるのですが、内緒で追加サンプル採取に行って落盤(地割れ)事故に遭い、バクテリアに感染してゾンビ化。
後は狭い基地内でゾンビに襲われたり感染したり裏切ったり見捨てたり。
何故か全員、喋り方が物静か。感情抑制剤でも飲んでいるんじゃないかと思うほど。
無駄に激昂する奴がいないのは落ち着いていて良いですが、人間味がありません。
展開も地味。これに比べたら「ゴースト・オブ・マーズ」なんか波乱万丈・急転直下のジェット・コースター・ムービーです。
唯一、キャラが立っていた“嫌われ者”キムなんか、死んだと見せかけて絶対終盤に絡んでくると思っていたのに捨石扱い(勿体ねー)。
反面、やたらいい仕事しているのが美術スタッフ。
冒頭、火星の大地を走るランド・ローバーのかっちょいいこと。
実際に組み上げたのは運転席部分のみで、あとはCG処理をしているようなのですが、きっちりロケ撮影しているのは評価できます。
ベースキャンプも気合の入った作り込み。入口横に“溝田産業”と書いてあったのは、日系企業もスポンサーとして金出してるって事か。
救助艇やステーションも安普請な感じはしなかったので、実はそこそこ金掛けてるんじゃないでしょうか(調べたら推定£700万でした。1£185円として約13億円)。
「インターステラー」もそうですが、何か最近のSFには燃え要素(or知的興奮)がありませんね。そもそも嘘八百並べているんですから、もっとはっちゃけた作品が交じっていてもいいと思うのですが…。